この世に生まれたことが消えない罪だというのなら・・・・アマゾンズシーズン2考察
先日『仮面ライダーアマゾンズ』シーズン2が最終回を迎えました。
ネット配信でしかできない作品を目指したシーズン1。
「アマゾンズをこえられるのはアマゾンズだけ!」と意気込んで作られたシーズン2は我々の想像をはるかに超える存在でした。
今回は『アマゾンズ』シーズン2を振り返り、この強烈な作品が訴えたかったとことは何だったのかを考察していこうと思います
(以下『仮面ライダーアマゾンズ』シーズン1、シーズン2のネタバレがありますので、未見の方は注意してください)
「アマゾンズ」シーズン2最大の衝撃はやはり『主人公が全ての災悪の元凶』であることでしょう。
人を人食いの怪人・アマゾンに変異させる溶原性細胞。
それを生み出すオリジナルと呼ばれるアマゾン。
その正体こそシーズン2の主人公である千翼・仮面ライダーアマゾンネオでした。
この事実だけでも衝撃的でしたが、オリジナルが千翼だと判明した後、千翼を凍結処分しようとした際に千翼が暴走。多数の死傷者を出してしまします。
この暴走が、シーズン2でパワーアップした残酷描写(腕や指が飛び、文字通り血の雨が降るほどの流血)で描かれたことで視聴者に強烈な衝撃をもたらしました。
この後、組織4Cを抜け出した千翼は、4Cを含めほぼ全ての登場人物から命を狙われることになります。
千翼がオリジナルとして溶原性細胞を生み出してしまうのは『人の遺伝子を持つアマゾン』という出自が原因の為、千翼は本人の意思とは関係ないことが原因で命を狙われることとなってしまいます。
本人の意思とは関係なく、人類の為なら死んでもらうしかない。というかなり悲惨な状況です。
シーズン2の特徴でもあるんですが、シーズン2に登場するほとんどの人物がろくなことに遭いません。
死体から蘇りカラスアマゾンとしてアマゾンと戦う千翼が惹かれる少女・イユはアマゾン化した父親に家族ともども食われて命を落としています
(イユの父親がアマゾン化したのは千翼の出生に関わり、誤って溶原性細胞を体に入れてしまった為なので、イユが死んだのは千翼のせいといえます)
中でも最たるのがシーズン1の主人公の一人である鷹山仁・仮面ライダーアマゾンアルファです。
アマゾン細胞の製造にかかわっていた仁はその責任と人間を守るため、すべてのアマゾンを狩ることを目的に戦っていました。
シーズン1からシーズン2までの5年の間時に狂いながらも、最愛の人・泉七羽に支えられてきた仁ですが、理性を失っている際に七羽を妊娠させてしまい、千翼が生まれます。
しかし、千翼もアマゾンの一人であるため仁は実の息子である千翼を殺すことを決意します。
それに気付いた七羽は千翼を育てるため、仁の前から姿を消すも、なんと千翼を身ごもったことで七羽自身がクラゲアマゾンというもう1つのオリジナルに変貌してしまっていた!
自身の最愛の人と息子両方を殺すしかなくなった仁は本作の過酷さを一身に引き受けたキャラクターとなってしまいました。
なぜ本作の登場人物たちはこんなにも過酷な運命を背負わされてしまっているのでしょうか?
それは、僕がこの作品のテーマが『生きること』だからではないかと思います。
シーズン2最終盤、千翼は4Cから逃げるも共に逃げたイユは力尽きてしまい、命を狙う仁と仮面ライダーアマゾンニューオメガこと水澤悠と対峙します。
4Cとの戦闘で既に傷だらけの千翼にとって絶望的な状況です。
そんな状況でも千翼は絶望せず、生きるため仁と悠に戦いを挑みます。
その結果として、決して腕から外すことのできない腕輪・ネオアマゾンレジスターだけが残されました・・・・
生まれながらにして人類を脅かす罪を背負い、あらゆる存在から命を狙われ、心惹かれた女性も失う
それだけ絶望的でも千翼は生きようとしました。
次々とくる災難・困難に『なぜ生きてちゃダメなんだ』と嘆きながらも、彼は生きるために闘いました。
その存在は人間にとって脅威でありましたが、その生き方はとても尊く私には見えました。
自分の運命に最後まで抗って生きようとする姿はとても美しかったです。
千翼以外の登場人物も自分の運命に苦しみながらも、逃げることなく戦うことで生きていきました。
そもそもシーズン1の中で『生きることは他の命を食らうってことだ』と明言され、生きるために食らうという生存競争がテーマになっていました。
苦しく理不尽なことがあっても、傷つけられても、美しくなくても、それが生きるということであり、生き抜くことは尊いのだ。
多くの者が傷つき、多く命が散って至った『仮面ライダーアマゾンズ』ですが、伝いたいメッセージはここだったのではないか?
と私は思います。