わたしのこと〜幼少編 その2〜
こんにちは、松本佳奈です。
わたしのことを少しずつ書いています。
前回の記事はこちら↓
生き物に囲まれ、死について考える天真爛漫な3歳のわたくし。
幼稚園に入るまでは、同年代の友達がいませんでした。近所の、5つ6つ上の兄さん姉さんに遊んでもらっていた記憶はあります。彼らとキョンシーの映画を見たり、怖い話をされてトイレに行けなくなり、便秘をこじらせ病院送りになったのはこの頃だったかと思います。人生初、浣腸を体験しました。
よいこのみんなは生理現象を我慢しちゃあかんで…
お向かいのお家に、木でできた古い物置がありました。その物置を開けると、長い長い、ゆるやかな下り坂。しばらく歩くと、スーパーにあるようなアイスクリームの冷蔵庫が、ぽつんと道の脇に置いてあります。
これはこの頃、わたしが思い描いていた想像の世界です。物置の扉ひとつから無限に想像を広げて、何時間でも遊ぶことができました。
物語を書くようになりました。ジャポニカ学習帳にびっしりと。ある時は、リスが、さらわれたお姫様を探しに行きました(お姫様は釜で煮込まれそうになっていた…)またある時は、海の底に沈んだパラソルの下で人魚たちがバカンスをしていました。挿絵も描きます。
そんな、空想が服を着て歩いているかのようなわたくし。近所の幼稚園で2年間過ごしました。
七夕の短冊に書いた将来の夢は「ひつじ」でした(羊)
あぶくたった 煮え立った
煮えたかどうだか食べてみよう
むしゃむしゃむしゃ まだ煮えない
かごめかごめのように、「生贄」を囲んで輪っかになって回る「あぶくたった」という遊びが異様に好きでした。
印象に残っているエピソードを4つ紹介します。
1つ目。ある日、粘土遊びの時間。「はい、おしまい」と言われても、どうしても粘土から離れることができず、いつまで経っても片付けをしなかったことがありました。業を煮やした先生は、「そんなにやりたいなら外に行ってやってなさい!」と、わたしを教室から閉め出しました。扉はガラス戸でしたが、鍵をかけられ、向こう側からみんなが見ていました。
泣き叫んで謝っても中に入れてもらえず、泣きながら園内をウロウロしたのを覚えています。
2つ目。またある日のこと。父の日参観なる行事がありました。父親たちがずらりと教室の後ろに並び、「はい、お父さんの似顔絵を描きましょうね」というもの。母は、友人に頼み込んで「父親役」として参加してもらうことにしました。
わたしは母の友人の顔を描き、「お父さんありがとう」というメッセージを貼り付け、その人にプレゼントしました。
しかしこの時期に「わたしにはお父さんがいない」と悲観したことって、無かった気がします。いないのが当たり前なので、比較したり考えたりすることがまずないですし、そもそも「お父さん」が何なのかよくわかっていないのでした。
3つ目。初めての学芸会のこと。真っ赤なドレスを着て、白い羽がついたフワフワの扇子を持って踊りました。その扇子を選ぶとき、どんな状況だったのかハッキリは覚えていませんが、山積みの扇子の中からお母さんが子供のぶんを選んであげていました。が、なぜかわたしは自分で選びに行きました。
ひとつの扇子を手にした時、横にいた誰かのお母さんがそれをサッと取り上げました。そして、代わりに手渡されたのはボロボロの扇子でした。
このことは妙に記憶に残っています。
4つ目。翌年の学芸会の題材は「人魚姫」。
この頃、とにもかくにも、人魚が好きでした。ある日偶然テレビで、映画を見ました。ニューヨークが舞台でした。主人公の男性が寝ている隙にヒロインがこっそりお風呂に入るのですが、まず、ざーーーっと塩を入れます。そしてゆっくり湯船に浸かると、二本の足が鮮やかなオレンジ色のヒレに変わったのです。
「ああ、わたしもこうやって、足がヒレに変わる時が来るんだ!」と、確信しました。ちょうどスイミングスクールにも通い始め、完全に「海に帰る練習」のつもりで泳ぎを習っていました(真剣)
いつかは海に帰る人魚の私が、人魚姫役に立候補しないわけがありません(思い込みのエネルギーって本当にすごい)
念願叶って人魚姫の座を射止めました。この時の衣装は保護者の手作りでした(ものすごく大変だったと思います…ありがたや…)スパンコールがきらきらと美しいピンク色の尾っぽを、わたしは愛していました。
この頃からすっかり芝居にのめり込み、物語を書いては何役も演じて芝居をする、という一人遊びに没頭しました。
クリスマスや雛祭りには家の中を飾り付け、ステージを作り、母やおばあちゃんに「何か特技を披露してください」と強制。(やってくれたかどうかは覚えていません)わたしはピアノを弾いたり、芝居をしたり、歌って踊ったり。
出演者でもあり、企画者でもある。今わたしがやっている活動の原点はここにある気がします。「学芸会」そのものを作るのが好きなんだと思います。
幼少編はこんな具合です。
ここから小学校に入り、どういう経緯を経て中学校での不登校に繋がっていくのか。
書いていきたいと思います。
松本佳奈