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『紫陽花』

2017.07.13 06:11

 あれはもう、遠い記憶。


 過ぎ去った恋の儚い欠片(かけら)。


 ひとひら、ふたひら、拾い集めて、活けてみたら、触れたら散ってしまいそうな、淡い桜色の花になる。


 雨を求めて咲く、束の間の季節にだけ咲く紫陽花。


 花びらに滴る雨の滴は、あの日私が流した恋の涙。


 眩暈がするほど、遠い時間に隔てられ、塞がった傷は、


 もう、甘い感傷でしかなくて、恋の古傷を疼かせはしない。


 今、胸にあるのは、懐かしい切なさだけ。


 移り気なんて呼ばせない、紫陽花はただ移ろいゆく時間に色を変え、時に寄り添っただけ。


 そう、今の私の心のように.....。



photo/文:麻美 雪