好きなピアニスト 4
evgeny kissin エフゲニー キーシン (1971~) ロシア(イスラエル)
これまた、今まで好きなピアニストであげてきた人とは違うタイプのピアニストですが・・。
初めて知ったのは大昔にBSでやっていたドキュメント番組でした。
ちょうど、イギリスの音楽祭のプロムスで大きなホールのど真ん中にピアノだけ置くステージがあって周りを立ち見の観客が360度囲んで聴くという、コンサートのことを取り上げていました。
まさに若さ爆発!ダイナミックな演奏。
20年以上前なので、その頃のキーシンも若く、弾きながら自分の音をよーく聴いているのがわかる弾き方をしているのが印象的でした。
グルックのオペラをズガンバディがピアノソロに編曲した「メロディ」もキーシンの演奏で好きになった曲です。
私はどうやらテンポをできるだけ揺らさずに表現するピアノが好きみたいで、この「メロディ」のような叙情的な曲は気持ちを込めれば込めるほどルバートを多用してしまうような気がするのですが、そこをあえてあの「たんたんたんたん」「たんたんたんたん」という左の一定の速度の中に哀愁のあるメロディが流れていくのがとても落ち着くのです。
このテンポルバートをたくさん使ったほうがなんとなく気持ちがこもっている様に感じるかもしれません。しかも、ロマン派の音楽はこれも入れなさいと楽譜に書いてある場合もあります。でも、入れ過ぎれば音楽自体が崩れて聴きづらいものにもなります。
じゃ、入れなきゃいいのかっていうと、機械みたいになりすぎは困ります・・
実際に、テンポをあまり揺らし過ぎず、全体を大きく見て表現をするのってむずかしいことだと思います。
私の目指すところはここだったりするんですが・・。
キーシンの演奏で好きになった曲は数知れず。
シューベルトの最後のソナタD960も、シューベルトの歌曲をリストが編曲したもの、リストのスペイン狂詩曲も、フランクのプレリュード、コラールとフーガも、シューマンやショパンも・・特にロマン時代の音楽はキーシンのダイナミックな演奏に魅了されます。あと、スクリャービンやラフマニノフなどのロシアものもキーシンらしい演奏が光ります。
トップにある、ムソルグスキーの「展覧会の絵」
ラヴェルのオーケストラ版の方が知られているのかもしれないですが、原曲はムソルグスキーがピアノのために書きました。
技巧的な曲なので、ピアニストが弾いていると、「大変な曲だな」とか別のところを見てしまうんですが、キーシンの演奏はそれを感じさせず、情景が頭の中に浮かんでくるような演奏。
この曲、まだキーシン以上の人に出会ってません。
プロムナードをとって2曲目の「古城」では、ここでもテンポを揺らさないで表現しています。
すべてを聴き終わると、本当に一冊の本を読んだような、物語を感じます。
現在、キーシンは40代半ばを過ぎ、最近はCDも出さずあまり聴けないのですが、
・・・どうでしょう。一度コンサートに行ったのですが、そのチケット代には「!」でした・・
是非是非、得意な曲をどんどん聴かせてほしいなと思います。