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「すきまのじかん」アンネ・エルボー

2017.07.11 13:14

今日も素敵な絵本が入荷しています。

アンネ・エルボーの「すきまのじかん」は昼と夜のあいだの時間、夕暮れ時の、時間のお話です。


まだ、あかりをともすほど、くらくもなく

かといって ほんをよんだり ぬいものをするほど

あかるくはない じかん。

ほんをひらいたまま、ページのなかの じは、ぼんやりとみえるだけで

ひとは、ものおもいにふけり、うっとりと、ゆめをみるのです。

それは、おおかみでなければ、いぬでもないような じかん

かげのぶぶんは、まだほんのすこし かがやきをみせ、

じめんはくらく、そらは、ほんのりとあかるい

すべてのものが しずかな

あおいせかいの おとずれをまっているじかん。


まるで詩のような文章で始まるこの絵本は、擬人化された「すきまのじかん」が夜と昼のあいだで恋をするお話です。

日本語の翻訳はすべて平仮名(と片仮名)で書かれているので、子どもへ向けた絵本の意図があるのかもしれませんが、個人的には大人の方のほうが、読むとすっと心のなかに入ってくる絵本のような気がします。

アンネ・エルボーの描く絵も、その繊細で、それでいて拙くも感じる線は、柔らかさ、暖かさ、そして何処か冷たさをも感じる、大人がその洗練さに気付く絵でもあるように感じます。

詩は、普段本を読まない人こそ、読むべきだと、管啓次郎さんは言っていました。(たしか、高橋源一郎さんも似たことを書いていたような記憶があります)

このアンネ・エルボーの絵本も、普段本を読まない大人の人にこそ、響くような、そんな気がする本のひとつです。


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すきまのじかん」アンネ・エルボー