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現在の部活動では楽典を学ぶ時間はない?

2022.01.12 22:12

先日このブログに「合奏で交通事故が起こってしまう理由」と題した記事を掲載しました。

結論から言うと、西洋音楽がどのように作られているのかを解説している「楽典」の知識がないと演奏の一線は越えられないよ、という内容です。よろしければぜひお読みください。


僕はここで記事を上げると、同時にSNSで更新情報を掲載していまして、Facebookでシェアしてくださった方のところにコメントされているのを拝見しまして、「大切だけれども、部活動で楽典をちゃんとやっていられる時間がない」と書かれていらっしゃいました。確かにおっしゃる通りです。部活動は非常に短い時間で、しかも近年は活動日数も減り、中学校などでは冬になると下校時間も早まるために、楽器を出して組み立てた矢先に片付けるという、もはや何の時間だかわからない時もあります。楽典どころの話ではありません。

だからと言って宿題みたいにすると、楽典を国語や数学と同じスタンスで学ぶもの、と認識する恐れがあるので、避けるべきだと感じます。このへんのお話はまた後日書こうと思います。


そもそも楽典を楽典として学ぶ必要は部活動にないと思うのです。音階練習をしながら音階の仕組みを理解すれば良いわけで、例えば短調の旋律短音階下行形を第6,7音半音上げたままの状態で演奏してもらって「あれ?これじゃ長調みたいだよね、じゃあどうしようか」とかお話していく(何言ってるのかわからない楽器を演奏している方は楽典を学ぶ必要がありますよ)。これを基礎合奏の音階練習に取り入れるとか。

他にも合奏をしながら、楽語をいくつか提示して、それぞれのイメージを持った上で同じメロディを複数回演奏してもらうとか。そうやって合奏の中に音楽理論を散りばめ、音楽には理論があり、演奏にとって必要で大切な存在なのだ、と認識してもらう指導をしていけば良いのだと思うのです。


羽村第一中学校の玉寄先生が基礎合奏で行っている「せま、ひろ」などはまさに音程を具現化して演奏に直結させていらっしゃる素晴らしい例だと思います。


楽典は大切な存在ですが、それを学問と捉えさせずに指導ができることは、今後指導者にさらに求められるスキルのひとつだと思います。



荻原明(おぎわらあきら)