はしがき・端書
どのような本にも、初めのページには、目次やはしがきが有ります。
両者とも、ある程度の文章量でもって構成されていないと、その本自体が、内容の濃さを感じられにくくもあります。
その「はしがき」ですが、一般にひらがなで書かれます。
漢字で書けば「端書」なのですが、漢字で書いてある本は見たことが有りません。
ひらがなの方が、その本の入り口としては、入りやすいですね。
又、「まえがき」とか「はじめに」とも書きますね。
この「まえがき」や「はじめに」も「前書き」・「初めに」と漢字は使っているのを見ませんね。
さて、このはしがき、著者が、その本を書くにあたっての出来上がるまでの悲喜こもごものの事情を述べることが多いものです。
そして,他には、本が出来るまでにお世話になった人や出版社への感謝が有ります。
はしがきも、あまり長すぎると嫌気がさしますが、少なくとも1,2ページぐらいは有ってほしいものです。
著者の思いが垣間見れます。
はしがきは、その本の「はじまり」
しかし、はしがきは、読者を、その本の中に誘引する役目があるものですから、書き方にも、注意が必要でしょう。
それによって、売れ行きをも左右することもあるでしょう。
決して、新刊本ににつけられる、宣伝のための帯だけが、購買欲を書きたてるだけではありません。
はしがきは、いわば、その家の門扉や玄関に相当するようなものです。
玄関先に入って、汚い家とか、狭いとか、物が乱雑に置かれていると、人は、少し躊躇します。
はしがきも、それと似たようなものです。
時として、次のような文が書かれているのを見かけます。
「はしがきに推薦文を書いてくれと言われたので」
「彼は、このほど、こんなすごいものを仕上げた・・」
等と言う言葉が添えられているのが有ります。
こういうものに限って、中身は雑な事が多いものです。
宣伝の一部にもなりますが、わざとらしさや、安っぽさを反って強調してしまいます。
「常々、講義で必要性を感じた」ので作って自分の講義読者・学生に買わせる教科書というのも、印税稼ぎと言われます。
言葉の選択は、何処に置いても慎重さが必要です。
「この本が、貴方に一つでも有意義になれば幸いです」
「世の中の人々に役だつものであることを信じて作りました」
「常に傍において参照してもらえる構成に勤めました」
等は、大概、いい本です。
また、家に例えると、べニア張りのドアや、立て付けの悪い扉では、いけないでしょう。
つまり、はしがきを読むだけでも、中身が想像できるものですから、はしがきもおろそかには出来ないと感じるでしょう。
はしがきの類似語としては・・・
・巻頭、巻首
・冒頭・・・・・冒頭文
・頭書
などがあります。
プラトンの言葉を引用しますと・・・・
「よくはじめられた仕事は、なかば終わったようなものである」
日本の諺・・・
「初め良ければ、終わりよし」
ですね。