武田守
生命・環境科学部 食品生命科学科 教授
「食品成分”による“疼痛緩和”のメカニズム:神経生理学的アプローチ」
最近、薬物に頼らない疾病の治療「補完代替医療」が予防医学や健康食品の開発の視点より注目されています。人や動物の医療の場で使用される局所麻酔薬、静脈内鎮静・麻酔薬や炎症性疼痛の治療薬などは、主作用以外の副作用を伴います。私達は、現在、食品に含まれるフィトケミカルなどの化学成分に注目して疼痛緩和作用の可能性を検討しております。主にin vivoで疼痛伝達ニューロン活動を神経生理学的に解析することにより、副作用のない化学成分で”鎮痛薬や麻酔薬”や“機能性表示食品”の開発などを視野に入れた補完代替医療への貢献を目指す研究を行っております。今回はその一部について御紹介させていただきます。
研究テーマ
・口腔顔面領域の病的疼痛の発症機構の解明
・食品成分(植物や動物由来の化学成分)による疼痛緩和機構の解明
・市販の健康食品成分の疼痛緩和機構の解明
私は現職までの約20年間、歯科大学生理学講座で教育・研究に従事しておりました。歯科医療処置(抜歯、インプラント、歯科矯正)に伴い、口腔顔面領域で発現する病的疼痛の発症機構の研究に携わって参りました。主に神経障害性・炎症性疼痛の発症のメカニズムを病態モデル動物を用いてin vitro とin vivoの両側面より行動学・電気生理学・免疫組織化学的手法を用いて研究を展開して参りました。現在は、着任前に明らかにしてきた病的疼痛や侵害受容性疼痛が、薬物に頼らず「植物や動物由来の化学成分」で疼痛を緩和する機構について神経生理学的に解析しております。現在まで7年間の間に研究成果を原著論文、総説論文、著書を発信致しました。人や動物の医療の場で使用される”鎮痛薬や麻酔薬”や“機能性表示食品”の開発に役立つ基礎的エビデンスを明らかとすることで補完代替医療に貢献したい考えております。