上原巌
2021.12.14 01:16
地域環境科学部 森林総合科学科 教授
「森林と人間の健康は比例する -ポストコロナのいま-」
コロナ禍、ポストコロナの状況下において、森林における保健休養機能が脚光を浴びている。森林は、無数の生物が創出する「生命体の集合」でもあり、その環境は私たち人間の健康増進の働きをも内包している。最近では、全世界的に、森林を活用した森林浴(Forest Bathing)、森林療法(Forest Therapy)が注目され、その普及が各国に広がっている。今回は、それらの事例について発表する。
研究テーマ
・各地の放置林の再生手法、技術
・人工造林および天然更新による造林
・森林療法の効果
日本は国土の約7割を森林で覆われた「森林国」であるが、わが国の造林分野における長年の課題は、針葉樹と広葉樹との混交林および複層林の造成である。しかしながら、わが国の温暖で多雨であり、複雑でデリケートな生態系において、人工的にそれらを創出することは依然として困難な状況にある。そこで、私たちの研究室では、人工造林と同時に、風や動物の種子散布による天然更新をプラスした、「人工造林+天然更新」による造林手法の研究に取り組んでいる。研究範囲は、苗木の栽培技術から、樹木生理学、生態学、森林アメニティ学に至るまで多岐にわたり、最近では現代数学も取り入れた研究手法に取り組んでいる。