『Sweeper's Pride』(原題:Wert der Arbeit) / ドイツ
あらすじ
毎晩人気のない街路を掃除するボードー。そんな汚れ仕事には誰も気づかない。ある晩、彼はエレキベースの音ときらめく光に導かれ、美術展の内覧会に出くわす。全くの未知の世界で、彼はよく知っているものを発見する。そして、これからは人目を忍ぶのをやめようと決心する。
実行委員による審査講評
"一粒のプライド、サービスのクルトン"
この映画は、固定された階級社会を白と黒のコントラストで鮮烈に描き出している。「芸術」に囲まれたスノッブたちは、清掃員の男の侵入に決して気付かない。それはガラスの向こうに存在する「下流」社会の人間が、彼らにとって虚像でしかないからだ。結局この小さな物語に社会を変革する力などない。だが一人の清掃員の自己満足に終わる軽妙さにこそ、大きな価値があるのではないだろうか。
監督について
Matthias Kossmehl
1987年ミュンヘン生まれ。2008年から2012年にかけてイタリアのFree University of Bolzanoで学ぶ。映画と写真を専攻し、風刺的な短編の卒業制作『Welcome to Bavaria』が世界中の70を超える映画祭で上映され、いくつかの賞を受賞する。2013年よりミュンヘンでフリーランスとしてコマーシャルをプロデュースし、処女長編も企画している。2014年にHamburg Media Schoolに入学する。
コメント
誰だってそれなりの給料をもらい、やっている仕事の価値を認められるべきです。私は最低賃金、労働と芸術、階級差について説教めいたことを言うつもりはありません。むしろそれらを冗談っぽく対比してみたのです。明確には描いていませんが、あなたを考えさせる何かがこの作品の中にあるはずです。ウェイトレスが思い付きでボードーの道具を飾って労働と芸術の交換を達成した時、皆が平等になりました。世界は、そうあるべきではないのでしょうか。
影響を受けた監督や作品
ヴェルナー・ヘルツォーク『フィツカラルド』
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー『不安と魂』
ウェス・アンダーソン
作品情報
2015年
Hamburg Media School
7min<実写部門>
キャスト:Christoph Glaubacker、Gerlinde Pelikan、Cornelia Dörr
スタッフ:<脚本>Brix Vinzent Koethe <撮影>Fabian Beyer <プロデューサー>Caroline Scheller <編集>Andreas Nicolai