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YABARのブログ

ソーシャルワーカーというしごと

2017.07.19 03:00

 精神科病院には措置入院といって、精神保健福祉法29条という法律をもとに自傷や他害の恐れがある人を精神科病院に入院させる制度がある。当事者からすると、いきなり福祉の人がやってきて長い説明文を読み上げられて、複数人に外に出され連れて行かれた先は病院で診察を受けさせられる。落ち着くまで休んでいてねと優しく言われて、入る場所はやんわりと職員の目のつく監視つきの部屋。そのあとに入院が必要か、そうでないかを決める診察が指定医のもとで行わる。


 昔の精神科病院は山の上や街から外れたところにその多くが作られた。距離が遠いことは逃げ出した時の保険の意味もあったのだろう。漫画のブラックジャックによろしくや村上春樹のノルウェーの森でも山の上の精神科病院や山の中にある療養所から入院している患者が抜け出す場面描写がある。もちろん2つとも連れ戻され再入院させられる。


 かつて行われていた入院させる精神科医療の方針にはある問題点が浮かび上がった。経過がよくない、退院にならない患者がそのまま5年以上の長期入院となりあとからも同じような患者が入って来て病院内に留まり続けてしまったのだ。それは問題であったため、そのあと精神科医療を地域へと移行させようという流れが起こる。入院していた人たちは退院へ、通院で済む場合は通院で治療しようというのである。地域の人が理解ある人達ならば良いが、はっきり言ってまだまだそういう状況ではない。精神保健福祉の勉強をした私でも、未だに差別の意識は持っている。ましてや一般生活でそれまで触れる機会の少なかった人たちが、精神障害の人を地域で見ることが増えてきたらどう感じるだろうか。相模原の殺傷事件はこういう背景も相まって起こったと私は思っている。


 日本の滞在中に、N市の保健センターの副センター長と面接させて頂く機会があり話を聞かせていただいた。メインの用件は他にあったので、全てを尋ねることは出来なかったのだが以下のような話が出た。

「N 市は人口17万人、それに対してお隣F市は63万人超。その差3倍。ただ現状はN市が、F市の措置入院(*)の手続きも請け負っているような状況である」(措置入院:本文一段落目に記載あり)


 特別行政区の東京都は各区に役所があり、保健センターも設置されている。さらに地域包括支援センターと呼ばれる小口の窓口もある。これが大阪だったらどうでしょう。その他の県ではどうなのだろう。他の国ではどうなのだろう。


 精神科はやっぱり「精神病を治せていない」のでしょうか。それとも、まだまだ「移行期間」なのでしょうか?


なお