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想いを寄せる

2021.12.14 13:39

樹木希林さんと骨董の先生が古き良きものを訪ねる『温故希林』という番組がありました。

少し前に再放送があっていた中で、金沢の寄せ切れ(よせぎれ、パッチワークのようなもの)が取り上げられていたので、今日はそのお話です。


番組で訪ねていたのは、子育ての守護神・鬼子母神を祀る金沢の真成寺。

その土地では、赤ちゃんが生まれるとき隣近所からそれぞれの家が大切にしている布を少しずついただいて着物を縫う風習があったとのこと。

赤ちゃんの健康を祈ってお寺に奉納するその着物を「百徳きもの」と言い、大切な端切れと共に頂いた百人の徳が我が子を守ってくれると信じたのだそうです。

「あそこの家、赤ちゃんが生まれるのでおめでたいから、あの布をあげよう。」

と、隣近所が身内のように想いを寄せる。

皆さんから頂戴した布で縫い上げ、背守りに矢などを刺繍する。

子を想う祈りが形になった尊いものだと感じました。

それぞれの家が大切にしている布を寄せ集めて奉納された「打敷」


そういえば、母が求めた和布パッチワークのポンチョはこれだったのだと、今ごろ合致した次第。

お店の方に、金沢のものだと聞いたことを思い出しました。


以前、ケアの勉強会で、出産を控えた仲間を皆で囲んで想いを送ったことがあります。

そうしているうち、ふ~っと原始風景の中に居るような不思議な感覚になりました。

無事に生まれて来てくれますように、無事に育ってくれますように、幸せも喜びも不安も心配もある中で、人は昔からこうして皆で想いを寄せて、命を迎えてきたんだなぁとストンときました。

「百徳きもの」であの時の感動が蘇りました。


あれからもう10年…。

あの時のお子さんも素敵なスポーツ少年に育っていて、SNSの写真を嬉しく眺めています。