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NPO法人こおりやま子ども若者ネットワーク

第4回K-Labo シリーズ発達障がい②~若者の就労支援を考える~

2021.12.14 14:39

2021年11月20日に、安積総合学習センターにおいて、第4回K-Laboシリーズ発達障がい②「若者の就労支援を考える」が、(社福)ほっと福祉記念会 県中地域障害者就業・生活支援センター ふっとわーく 木村センター長様を講師にお迎えして行われました。

●現在郡山市で行われている支援の現状について(郡山市議会議員 箭内好彦様)
 郡山市雇用政策課から出されている「やりたいことを見つけるための窓口案内ハンドブック」をもとに、下記のポイントを踏まえてのお話がありました。
 ・このハンドブックは、学校に行けなくなってしまったり、働きたいけどどうしたらいいかなど、誰かに相談したい時にどの窓口に行けばいいかを案内する「みちしるべ」として使ってほしい
 ・発達障がいをもつ、または発達障がいに関して相談したい時は、一番目の窓口は保健所になる

発達障がいをもつ若者の就労支援を考える
((社福)ほっと福祉記念会 県中地域障害者就業・生活支援センター ふっとわーく 木村センター長様)

 ・就業・生活支援センターはどのようなところで、どんな業務を行っているのか。障がいを持つ人の就労支援・生活支援を、県中地域12市町村を8.5人でカバーしている!
・県中地域の障がい者雇用の現状については、特に近年、発達障がいを持つ方の一般就労は増えてきていて、企業内で戦力になりつつある
・発達障がいをもつ人が働くとき、まず何のために働くのか?「生活のため」であったり「ほしいものを買うため」であったり、「家にいるよりまし」であったり、それぞれの人の理由がある。みんな違ってみんないい。
・どうしたら働けるか?まずベースとなるのは体力やストレス耐性、食事・薬などの管理の日常生活のためのライフスキル、次にコミュニケーション能力などの社会生活のためのソフトスキル、最後に専門知識や資格といったハードスキルが必要。その上で、自身の得意なことや苦手なことに対する自己理解を深めていくこと、自分の苦手なことにどう対処していくかを考えて準備することが重要。

 ・大事なことは「働き続ける」こと。発達障がいを持つ人はハードスキルは高いので仕事はできる。一方で、コミュニケーション面でうまく対応できなかったり、会社側が、本人が仕事ができるので障がいを持っていることを忘れて対応してしまうこともある。そのため、自責的になったりネガティブな考えを持ちやすい。そうなると、転職しがちになり、気持ちが落ち込んで仕事自体ができなく場合もあるので、その前にうまく切り替えることができるようにしていく必要があること、自分のストレス耐性や状況によって必要な配慮を得られるように働き方も検討していく必要がある。

・実際の当事者の方や家族の方の事例を交えて、当事者や家族の方々がどのような気づきを持って、どのように対処をされていったのかをいうことをお聞きした。

●会場との質疑応答・対話の時間
 参加者のお一人お一人から、木村様のお話への質問や、普段感じている疑問など、たくさんのお話がありました。その一つ一つに、木村様も丁寧にお話されていました。印象的だった質問を取り上げます。

 ・支援の難しいケースにはどういうものがあるか?

  →幼少期のつながり(情報)が少ない場合。特に、義務教育中は特別支援などで対応や情報の引継ぎ等があるが、高校でつながりが切れてしまうことがある。

 ・地域に対して期待する事はどんなことがあるか?
  →ひとつひとつのケースが埋もれている。埋もれているケースを掘り起こすためにはどうするといいのかを情報共有をしたい。事例集や好事例の発信、情報を蓄積していくことが大事だと思う

 ・企業からの見方はどうなのか?
  →障がい者雇用がうまくいっている会社は、障がいのあるなしに関わらない、社員とのかかわり方をしている。企業側にも、障害者雇用についてどうしたらいいのかよくわからない気持ちがある。もっと企業への発信をしていかなければならない

 ・障がいを持つ人が、自分の困難を見つけるにはどうしたらいいか?
  →周りで見る側としては、「うまく失敗させてみる」ことで、本人の気づきが生まれる。こういうことが困ったけれど、こうすればいいね、という次への対処を話し合う

 ・入口となる相談窓口で、相談に来られた方が(例えば「働きたい」と言ってこられた時でも)就労できる力があるかどうか、その時点でその人に本当に必要な支援は何かを見極め、その人の状況にあったつなぎ先を検討することが重要

●まとめ
 今回の箭内様、ふっとわーく様のお話を聞いての戸部の感想を述べます。

 ・私自身も、当事者が「働き続ける」ことの困難さを日々感じるところがあり、また本人に失敗させることを回避しがちでつい手を出したくなったりする自覚があるので、「うまく失敗させる」こと、失敗をネガティブに捉えるのでなく、前向きに「次はこうすればいいね」を本人とポジティブに捉える体験にできるようにしたいと思う。

 ・特に入口となる相談機関での、相談に来られた方の就労に対する準備がどれだけできているかのアセスメントについては、実際的に、相談に来られた方が自分に必要な支援を理解できて、スムーズに必要な支援につながる(それが一見遠回りになったとしても)ことが一番大事と思った。就労の直接の出口となる機関が入口の役割までするのでは、その機関もパンクしてしまう。相談に来られた方が実際に何に困っているのか、どんな支援が必要なのかを適切にアセスメントできるよう、自分の力を上げていかなければならないと感じた。

 以上、貴重なお話をいただいた、ふっとわーくの木村センター長様、準備段階から多大な力をいただいた鈴木綾様、箭内様はじめこおりやま子ども若者ネットの皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

特定非営利活動法人ほっとスペースR  戸部 裕子