提案『折り紙の薦め』
留学中は留学生のみが居住するアパルトマンに住んでいました。仲良くなるとそれぞれの部屋を行き来し交流を深めるのですが、何より文化の違いを感じ衝撃的だったのは、無造作に置いてある洗濯物でした。洗濯したものなのか、着た物ものかを区別するのに匂いを嗅ぐという行動・・・ハッとして折畳むという文化がないことに気付いたのです。そんな彼らが楽しんで教えて欲しいと言ったのが折り紙でした。
またそこで再認識したのが日本人の器用さです。紙を折ることが案外難しいことで外国の友人らは上手できない歯痒さを感じているようでした。今改めて思うことはやはり幼い頃の巧緻性の獲得は必要であり、日本の伝統的文化である折り紙を積極的に取入れるべきだと感じています。常々折り紙を楽しんだ子の優れた幾つもの能力はこの取組みに深く関係していると捉えています。
さてここからは折り紙が子供の能力にどのようなメリットや効果をもたらすのかを挙げていきます。
1、手先の器用さの獲得(巧緻性)
折りをスタートさせる子供には、先ず左右の指の役割をそれぞれ教え、実際に紙を扱う3つの動きのマスターを習得してもらいます。同時に表裏の両側から見て白地が見えないように折れているかを視覚情報重視に促します。折り紙はいかに正確に細かい部分までを丁寧に折り上げるかで仕上がりの完成度に影響しますから、丁寧に織り上げる最初の一折を徹底して折れるようにしましょう。最初が肝心、最初の習得が折ることへの意欲にも繋がります。
2、忍耐力を付ける
これまでに幾度も子供の成長には我慢が重要で、忍耐力を付けるべきだという話をしてきました。前回『パズル』記事にも書きましたが折り紙も忍耐の連続です。折り紙の角と角を丁寧に合わせること、折り方の分からない部分はどう折ればよいのかを自分自身で図を見ながら読み解く忍耐力も必要になります。忍耐力を発動して諦めずに折ることが折り紙には必要不可欠で、そこでぐっと感情を堪えて何かに向き合うことも学ぶことになります。
3、思考力・想像力を付ける
教室では4歳から本を見ながら子供自身が折っていくトレーニングに入ります。図解を見ながらどのように折っていくのかを思考しながら折り進め、またこう折るとどうなるかを想像しながら折る力も同時に磨いていくことになり、3歳までに大凡の折り方を教え練習するので折り紙がどのように展開されていくのかを想像しやすく、図形力へと繋がります。
4、空間認知(認識)力を鍛える
折り紙は平面である1枚の紙から一折一折を繰り返し、視覚を通して立体的に変化する様子を情報処理しながら完成させていきます。この空間認知力はその後の様々な学びで活かされることになります。
5、記憶力(ワーキングメモリー)を鍛える
折り紙の基本的折方はある程度決まっています。どのように折ればどのような形になるのかを一時的に記憶するトレーニングを繰り返し行っている作業です。何度も繰り返すことにより記憶力と先を読む力も鍛えることができます。
折り紙は日本の伝統文化ではありますが、子供の頃に徹底して取組んでいる方は少ないように思います。女の子は手先は器用ですが空間認知が弱い傾向がありその弱点をカバーするのに折り紙を、そして空間認知が長けている男の子は体全身を使い動くことが多いため手先がやや不器用に近い子が多い傾向にあり、その不器用さという弱点を折り紙で克服させることを意識しながら取組んでみてはどうでしょうか。