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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

イスラム誕生5-欧州の鉄槌カールマルテル

2017.07.17 11:55

スペインに攻め込んだイスラムはまさに破竹の勢いで、グアダレーテ河畔の戦いに勝ち、西ゴート王国を滅亡させた。そして716年には大部分がイスラムの支配となり、アル・アンダスというイスラム帝国の属州となった。イスラムはその余勢をかってピレネーを越えようとした。

ピピン2世が逝去したフランク王国では、その庶子カール・マルテルが宮宰としての地位に就いた。マルテルは軍略家で、ネーデルランドやドイツへも遠征を行い、領土を広げていった。そのツールが中世ヨーロッパを彩る「重装騎兵」である。ところが馬と武具を揃えるにはかなり金がかかった。

マルテルは、そこで教会の領地に目をつけた。まあメロヴィング朝の間、教会は開墾に励み、どんどん拡大していたのだ。この教会の領地を土地の少ない領主達に分けあたえた。しかしタダで没収するとあとがうるさい。考え出されたのが、教会に税金を払うこと、中世の教会への10分の1税はこうしてできたのだ。

そして、主君から与えられた領地のお返しとして、一定期間軍務に就くという、封建的主従関係がここからできていったのである。720年になると、イスラム勢は南仏に攻め込み、ボルドーを落とし、さらに北へ攻め入る気配を見せていた。いよいよ決戦が近付く。

下はカールマルテルの肖像。マルテルが鉄槌という意味なので、結構このあだ名で呼ばれる