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光彩

2021.12.14 20:55

下級武士の生まれにて学問の礎は父親と書物。「書物を読むことは昔のりっぱな人に会って教えを受けること」と小学生向けの松陰読本に見かけた。

ロシアの文豪トルストイに「クロイツェル・ソナタ」なる作品があって、ベートーヴェンの同名の曲に着想を得たとされており。汽車の長旅に居合わせた客の会話が結婚観に及ぶのだけれどもそこに一石を投ずるは一人の公爵。不倫への嫉妬から自らの妻を殺めた過去を語り始めて。鋭い洞察力に内面をえぐる心理描写は秀逸。

ソナタといえば「ソロ」が基本にて楽器名が付されるが一般的もクロイツェルはヴァイオリニスト、つまりは人名。ならば、ヴァイオリン・ソナタとでも。いやいや、ピアノとの共演は絶妙にて主役譲らず。その関係に他の楽器が「嫉妬」を抱いたとしても。作曲者の意図や知らず、が、この曲をそこに結びつけた文豪は相当な「通」にあるまいか。美しき旋律をぜひ一度。

さて、県連から来年の手帳とカレンダーの注文が届いた。「光彩」と題したカレンダーは党総裁を一月に名だたる幹部の座右の銘と思しき揮毫が各月を飾るも個性あふれる筆跡の中にはよもや私のほうが、ってのも。そう、地元の物好きから揮毫を頼まれて、身分にあらず、と固辞すれど譲らぬ相手。「家宝」との決意にほだされて。字をしたためるは結構なれど座右の銘などなきに等しく。「任期中記す色紙はこれ一枚」と豪快に。本当にソレ一枚だったナ。

さて、議長室に歴代の一人として写真を飾っていただくことになった。背負う責任や一介の比にならず、その慣例や否定はせぬ。が、されど、たまたま「順番」で回ってきただけの話。歴代と並ぶなどおこがましく。何よりもこれ以上、恥を重ねる訳にはいかぬ、と拒否権を発動すれど、それは許されぬ、と議会局。後で文句を言わぬよう念書を記すとまで申したものの。

他に負けぬ立派な写真を、なんてのは厚かましく。すったもんだの結果、出来合いの一枚、いわゆる市のホームページの議員紹介に使われる写真をそのまま流用いただくことで決着がついた。役職の前後で顔が変わるなど。いや、あるやも(笑)。ゆえにそこに違和感を抱くやもしれぬ。が、あの物理学者とて威厳とは程遠いあの一枚が。まぁあとは煮るなり焼くなり勝手に。

そう、ここだけの話。隠居の身にお呼びがかかり。仰せつかりしは何を隠そう家庭教師。目下、中三の受験生を抱える身にて子の模試などに目を通してみたりもするのだけれどもさっぱり分からぬ。自らの子とてろくに育てれぬというに他人様の子など。何よりも父君から請われて。

ということで、科目は体育。というかそれしか教えられぬ。奇縁にて私と同じ一字が付くのだけれどもゴルフが上手くてね。恥ずかしながら中学生にランを教えてゴルフを教わっており。

(令和3年12月15日/2682回)