ミュージアム
唐突だが、最近の小栗旬はマジでカッコ良いと思う。なんと言うか、顔が〜とかスタイルが〜みたいなアイドル的要素じゃなくて、俳優として味のある雰囲気になってきたなぁと(何故上から目線!?笑)感じるのである。
わたしの中でレオナルド・ディカプリオもそうなんだが、若い頃のちょっと線の細い感じより30代を過ぎて髭面とかになり若干『おっさん』が入ってカッコ良い男は本物感があるような気がする。
ドラマ『CRICIS』でも刑事役(公安だけど)を演じていた彼の、やはり刑事物の映画『ミュージアム』を借りてきた。(『ミュージアム』を「刑事物」というには語弊があるかも知れないが)
原作漫画はすでに読んでいる。基本的に原作に忠実な内容だったと思う。
以下、ネタバレを含んでいるので閲覧には注意を願いたい。
あらすじ
散らかった部屋で生活する刑事(小栗旬)の元へ一本の電話がかかってくる。大雨の中で見つかったのは目を背けたくなるような遺体だった。事件現場に駆けつける小栗旬の前で吐き気を堪え切れない若手刑事。
現場で吠える犬に向かって「警察犬ならちゃんと躾けろ」と怒鳴った小栗旬は「こいつは重要参考人なんです」と鑑識に言われてハッとした。
発見された遺体の横には「ドッグフードの刑」と書かれたメッセージカードが置いてある。被害者は女性で、最近まで愛犬と暮らしていたが動物アレルギーだかで犬と一緒に住めない恋人と同棲するため愛犬を保健所で処分した矢先だった。
理由が理由だけに私的制裁ではないかと判断する小栗旬だが、しばらくすると今度は「母の痛みを知りましょうの刑」と書かれたメッセージカードとともにニートの男性の遺体が発見され、一気に連続殺人の様相を帯びてくる。
最初の被害者と次の被害者の共通点を探るうち、何年か前に行われた裁判が浮かび上がってきた。当時、どちらの被害者もある事件の裁判員に選ばれ法廷へ出廷していたのだ。
その事件とは「幼女樹脂詰め殺人事件」というなんとも猟奇的な事件のもので、起訴された容疑者には『冤罪』疑惑もあったが裁判員により死刑判決が下されていた。
事件の容疑者は冤罪を訴えたまま裁判のあと刑務所内で自殺、裁判員裁判に暗い影を落とす結果となってしまった。
共通項を見つけた捜査員達は「幼女樹脂詰め殺人事件」で自殺した容疑者の周辺に判決へ不服を持っていた人物が、時を経て当時死刑判決を下した裁判員達に復讐をしているのではないかと推理した。
捜査本部が、裁判員を努めた人々を探そうと沸き立った瞬間、一人頭を抱える小栗旬。
実は、彼の妻がまさにその事件の裁判員だったのだ。そしていま、妻は息子を連れて家を出てしまっている。
「刑事としては優秀だけど父親としては最低よ」
家庭を顧みない小栗旬に愛想を尽かした妻が出て行ったのは2週間ほど前、気にはなっていたが猟奇事件のこともあり真剣に探すところまで動けていなかった。
しかし、「樹脂詰め事件」の裁判員が今回の事件の被害者として選ばれているというなら、事態は大きく変わる。
事件に直接関係する可能性があるため、小栗旬は捜査本部を外された。しかし妻子が心配な彼は独自に動き出す。
妻の居所を探すが、実家には帰っていない、思い当たるのは看護師をしている友人くらいだ。彼女の勤め先へ向かうも、まさか猟奇事件に関係しているなど思いもよらない看護師の友人はなかなか妻について語ってくれなかった。
一方、捜査本部の刑事達は「樹脂詰め事件」の裁判員達を保護するため、それぞれの居場所を突き止めて向かう。しかし、彼らが向かった先で見たのは、「針千本飲ますの刑」「ずっと美しくの刑」など、最初の2つの事件と関連性を示すメッセージとともに置かれた無残な遺体だった。
結局、行方が分からない小栗旬の妻子以外は全員が遺体となって発見された。
妻子を保護すべく、1番近しい友人宅に刑事達が訪れたが、チャイムを鳴らすと「彼氏」だと名乗る人物が現れ、「彼女は勤務中、ここから5分くらいの病院にいるからそちらで話を聞いてくれ」と対応された。
病院へ着いた刑事達は、ちょうど小栗旬が彼の妻の友人を問い詰めているところへ出くわす。それまでは友人として妻のこと、そして息子のことを何も知らない小栗旬を責めるばかりだった彼女だが、血相を変えた刑事達に「事件の被害者になる可能性がある。」と伝えられ、慌てて「うちに今いる」と答える。
その答えを聞いて刑事達は、
「じゃあ彼氏も教えてくれりゃ良いのに」
と軽くぼやいた。
と、そのとき。
「わたし、彼氏いません」
彼女に同棲中の彼など、いなかった。
「あ れ が 犯 人 だ」
みすみす犯人の策にハマってしまった刑事達。地団駄を踏みながら小栗旬ともども友人宅へ引き返す。マンションの前に着いたとき、小栗旬はふとすれ違う車に不審さを覚えた。
マンション内の捜索を刑事達に任せ、不審な車両を追う小栗旬。
カーチェイスを繰り広げたが、ギリギリのところで車を横転させられ、犯人は逃げてしまった。
事故で動けない小栗旬を前に、犯人はわざわざ車を降りて「妻子を連れて行く」と宣言している。それから「わたしのミュージアムを完成させるには君が必要だ」と囁いた。
事実、マンション内の捜索では小栗旬の妻子達が見当たらず、連れ去られたことが発覚する。
そのすぐあと、後輩と一緒にいる小栗旬の元へ犯人がやってきた。その姿を見て頭に血が上り、日中の街中を追いかける。途中で後輩が彼に捕まってしまい、ビルの屋上から突き落とされる。後輩は即死、事件への介入を止められていたにも関わらず組織だった行動をせず、後輩刑事を死なせた責任を問われ小栗旬は警視庁へ呼び出されるが、なんと連行しようとする刑事達を殴り車内から飛び出して逃走した。
容疑者ではないが、規律を著しく破り勝手に犯人と連絡を取っている、または取ろうとしているとして小栗旬は重要参考人扱いになる。
動きの取りづらい中、小栗旬は独自の捜査を行い、ある一つの可能性にたどり着く。
犯行はいつも土砂降りの雨の日に行われた。
後輩刑事を屋上から突き落としたときは、話の途中で唐突に首のあたりを掻き、慌てて立ち去った。
そんな不可思議な行動は「アレルギー反応」から逃れるためではないか。
日光アレルギー、光線過敏症、といった病名に行き着いた小栗旬は、重症患者のカルテを探して病院を訪ねる。
何軒も回るうちにたどり着いた病院で、若い女医に聞いた患者の名前と住所。
彼は違法で手に入れた拳銃を持ってその家へと侵入する。
屋敷の奥では不気味な笑みを浮かべるカエル男が小栗旬の待ち受けており、彼を閉じ込めたうえで子供の書いた絵のパズルを解き、鍵のパスワードを探すように伝えた。
そしてカエル男は小栗旬に食事として妙な味のするハンバーガーを与える。探し当てたパスワードは「EAT」、嫌な予感が頭をよぎるも部屋を脱出した小栗旬はそこで驚愕の光景を目にする。
殺されてバラバラになった自分の妻子。
もしかして自分が食べたアレは…
小栗旬は思わず吐き出すが後の祭り。
感想
って変なところであらすじというかストーリーを区切ってしまったが、実際には妻子は生きており、カエル男は妻を『カエル男』に仕立て上げて小栗旬に撃たせようとする。
しかし途中で気付かれてしまい、今度は子供を盾に妻を撃つか子供を犠牲にして自分を撃つか、選択させるカエル男。
小栗旬は隙をみてカエル男に発砲するが、その瞬間、カエル男も彼に向かって発砲する。
小栗旬の弾はそれてしまい、逆に小栗旬が倒れる結果となるが、ここで駆け付けたほかの刑事によってカエル男は追い詰められ、無事に逮捕された。
最後は小栗旬も助かり親子3人で家庭を築き直すシーンで締めくくられる。ただし、なぜか彼の息子は日光に当たって首あたりを痒がっているーと少しだけ不穏なエンディング。
漫画を読んだときは結構面白い、と思ったけど映画になると、
・なぜ単独行動をしてピンチを招く!?
・ほかの刑事はなにをしてるねん。
・頑なに妻の居場所を教えない女友達もどうかと思う。
・そもそも刑事と結婚しておきながら、刑事に「父親」を求めるのもどうなんだろう?
など、映像化したゆえなのか気になる点がたさん出てきてしまったのと、
映像もストーリーも暗い上に声が小さい。
という難点もあり集中して観ることが出来なかった。
これ、刑事だから上のような気になる点が出てきちゃったんじゃないかと思う。たとえば、
『刑事を続けていると家庭崩壊になると考えて転職してみたものの、やはり仕事人間のまま家庭を顧みることがなかった』
みたいな設定にしておけば、妻の身勝手さも目立たなかったような気がするのだ。
だってさ、例えばわたしの祖母は祖父が船乗りだったから祖父に一般的な「父親」役を求めたことなんてなかったそうだし、わたし自身、子供はまだいないけど毎日帰宅が22時近くになり休日出勤も当たり前という激務の夫に一般的な「父親」を求めることはないな、って思う。
その分、祖父にしても夫にしても稼いではくれているわけだし、まぁこれで安月給だったり自分も同じような仕事をして稼ぎを持っていたら「家事とか子育て参加しろよ」って感じるかもしれないけど、この映画での小栗旬演じる刑事の奥さんは専業主婦っぽいし、刑事って公務員だし仕事人間でも良いんじゃないかな、と思ってしまうわたしは昭和の女なのか。
その辺の設定って漫画と同じなんだけど、どうして映像化した瞬間、妙にアラが目立ってしまうんだろう。小説の映像化も同じく、原作を読んでから映画やドラマを観るとどうしても「イマイチ」って感じる方が多い。
時々映像化大成功!と思う作品もあるだけにもったいなさをおぼえる。ただし、映画好きの友人などからは『映像と原作は別物と捉えなさい」と言われるのでそういう意識で観ればまた、違う感想を抱くのかもしれない。
とにかくまぁ、ちょっと暗すぎてわたしには残念な映画に思えた。