ナポレオン53-フランス王政復古
2021.12.17 11:07
これからの時代の主役となるオーストリア宰相メッテルニヒは4月8日にパリに入った、41歳。ナポレオンをもっと遠くに幽閉するべきだ、と言ったが遅かった。そして「ナポレオンは腹を空かせて戻ってくるだろう」と冗談とも予言ともつかぬことを述べたようだ。そしてとりあえず休戦協定をつくる。
この休戦協定は、フランスに賠償金を請求せず、外国軍隊は撤収。そして国境も1792年の国境に戻すという寛大なもので、後のキッシンジャー国務長官はこれを「平和と自制の条約」と高く評価している。下手なことをすると、またフランスの揺り戻しが起き、ヨーロッパが戦火に晒されると思ったからだ。
新フランス王ルイ16世は、立憲君主制を宣言していたが、臨時政府のつくった憲法草案を拒否、代わりにつくった1814年憲章は、「フランスの全権は国王にある」とされ、所有権は認められたものの、国会の機能は大幅に制限され、選挙権は、納税額によって決められた。
しかし何と、蘇った貴族達の中には、絶対王政への回帰を求める者が多く、超王派(ユルトラ)と呼ばれる。さらに国民の中には、共和主義派も居たし、ナポレオンに心酔を止めないボナパルティストも居た。軍はまだナポレオンの影響下にあり、フランスが治まるには程遠かったのだ。