古屋悟司の気づきと備忘録

実演販売見てたら、欲しくなっちゃって、1万円もするフライパンを買ってしまったお話

2017.07.22 11:25

土曜日だし、外でご飯でも食べようかと、伊勢丹をフラフラ。

「あ、珍しい!実演販売やってる!なんだろ?」と近づいていくと、おじさんがなんかやってる。

名札には「吉田」って書いてある。

「これね、全く焦げないの。不思議でしょ?油全く必要なしの。」

と、淡々と料理をしながら世間話風に話を進める吉田のおじさん。


僕が少し見てたら、あっという間に人だかり。

「これね、さっき揚げた鳥の胸肉。串で刺してみて。」と串を渡して刺させる。

「うわっ!柔らかい!!」


とまぁ、ここまでは普通の実演販売。

適当なものを、技術で上手いことやって、その場の勢いに任せて売っちゃうんでしょ?

って正直思っていたんだけど、実は違ったんですよね。


隣にいた80代のおばあちゃん、このフライパン持っているんだそうですよ。


30分以上見てたけど、値段全く言わない。買ってとも言わない。

ただ、お客さんと会話しながら、冗談言いながら、このフライパンを使った料理を教えるだけ。

もちろん、参加した油を使うことのデメリット、野菜に熱を通すと栄養が失われるデメリット、魚を焼いた後、ホットケーキを作っても匂いが移らないなどのメリットは、話に交えているわけね。


そこらのスーパーや、ショッピングモールならまだしも、それなりに名前の知れた伊勢丹で実演販売。「しょーもない商品を売りやがって」というクレームがあったら2度と呼んでもらえないわけだから、ちゃんとした商品であることは、なんとなくわかった。


で、この吉田のおじさんのすごいところは、全く売ろうとしないところ。

そして、伊勢丹には、「吉田さん、次はいつ来るんですか?」という問い合わせがあるということ。


この辺も上手で、30分ずーっと見ててわかっちゃったのね。


吉田のおじさんは、お客さんと仲良くなっちゃう。買わなくても世間話を楽しんじゃう。

買ってくれた人も大事にする。見に来てくれれば、使い方をいつでも丁寧に教えてくれる。

「次いつ来るかは伊勢丹に電話して聞いてみてね」とサラッと言うが、伊勢丹からして見たら、人気あるんだろうなってことで、また吉田のおじさんに依頼する。


「ちょっと、そのフライパン買って帰りたいんだけど」と言ったら、「そんなに急がないで、この料理だけ見てって。」と、なかなか売ってくれない。

これも、フライパンをちゃんと使いこなしてくれる人が増えないと、いずれフライパンが売れなくなることを知っているから。


そして、値段を聞いて、ドン引きした人が目の前で出てしまうのも防げるわけですよ。

だって、このフライパン、1万円ちょっとする。

「頼むから、それを売ってくれ!」と懇願するまで、売らないと言う、営業マンだとしたら、素晴らしい売り方をしている。


ちなみに、僕は、かつて、訪問販売の営業マンだったんです。

全国トップ10に入るほど売っていた実績もあるので、こう言うモノの売り方に関しては、モノすっごい勉強したし、5000人以上の対面デモンストレーションもやって来ているので、なるほどなーーと思う点がいくつもあった。


吉田のおじさんは今、71歳だと言っていたけど、ほんと凄いなと思って、感心しきり。

もちろん、術中に気持ちよくハマって、お買い上げで帰りました。(笑)

見た目は、2000円くらいのフライパンとなんら変わらないけれど、持った感じはずっしり重め。

ネットで検索してみると、評判もいい。そして、通販は一切なし、実演販売のみでしか売らない。


名前を検索してみると、

なんと、実演販売のレジェンドだそうで、1日100万円売り上げるそうだ!


しかも、全国の主要都市をぐるぐる周って売り歩くだろうから、いい加減な売り方では、情報があっという間に拡散する今の時代、あっという間に商売ができなくなってしまうわけ。


今日はとても良いものを見せてもらいました。1万円では見せてくれと言っても見せてもらえないであろうデモンストレーション。


吉田のおじさんが実演販売に来るたびに、

会いに来るファンのお客さん(おばあちゃま方)は、新規のお客さんにとってのサクラになるし、何よりも、初めて実演を見た僕ら「見込み客」にとっては、影響力のあるレビュアー。


2分だけ動画を撮ったので、興味のある人はどうぞ。


そんなフライパンみたいに、焦げ付かない(運転資金が(笑))ようになったのは、焦げ付いた経験があってこそだったのかもれないな。

焦げ付いた経験を赤裸々に語った、オキテ破りの会計本がこちらです