Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

李々佳・・縷々綿々

タリズマン

2014.04.14 04:22


うつ伏せに眠る80%のひとは、秘密の恋をしているのだとか。
彼女も、いつの日からか枕に顔を埋めて眠りにつくようになっていた。




彼とはもう永いこと、連絡をとっていない。


赤いリボンに蝋燭、ペパーミントオイルと上弦の月への願い・・・

魔女のまじないを試した日々もあったけれど。



その春の夜、探しものは見つからず、黄ばんだタリズマンが出てきた。


ああ、これも彼にかけようとした魔法のひとつ。

書かれた名が、ふいに押し寄せた懐かしさと切なさでぼやけた。




つまみあげた左手、薬指にはプラチナが光る。
「ああ、これもタリズマンだ」 と彼女は思い、黄ばんだ護符を灰皿で燃やした。
うつぶせ寝は続いていたが、

この護符さえ忘れていた彼女の日常に、もう彼の存在は薄れていたのだから。
黒い煙がたちのぼり、燃えかすを少しの間見つめたあと、

甘く苦い感傷も一緒にシンクに流した。