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李々佳・・縷々綿々

ひな祭り

2013.03.02 07:31


幼い頃、2月も後半になると、天袋のお雛様が気になりだします。
初孫の姉のために用意されたそれは、小さなサイズのお内裏様にお雛様、三人官女と左大臣、右大臣、五人囃しと草履持ち・・桃の木と橘、各種調度品が、H35cm×W50cm×D30cmほどのガラスケースに収まったものでした。

菜の花や桃の枝、菱餅を用意してくれた母の「さあ、お雛様を出しましょう」
その声に飛んできて、姉と私でひとつひとつ丁寧に和紙をひらき、所定の位置に置いていきます。お内裏様は左、お雛様が右・・・ひとりふっくらと座った姿の三人官女のまん中の彼女がお気に入りでしたっけ。 
お雛様が飾られている時期は、夜中に宴が開かれているのじゃないかと、その想像が楽しくてなかなか眠れなかったものです。

残念なことに私は女の子を持てませんでしたから、嫁いでからは雛人形を飾ることはもうないと思っていたのですが。その頃、母が木目込み人形に凝って、じゃああなたにはなかったからと、内裏雛をプレゼントしてくれました。
歳時記を身近に感じることは豊かになるから。

だけど、月日が流れる中で5月の節句のためには鯉幟だ武者人形だと気にしても、お雛様のことは後回しとなり。ココロに引っかかりながらも、ああ今年も出してあげなかったなという10何年でしたが、今日自分のために出すことに決めました。やはりうちも天袋から。陶器のものは和雑貨屋さんで一目ぼれした手のひらサイズです。

優しいまなざしの美しい顔、綺麗な衣装、ここにお雛様が在るだけで、私も優しい気持ちになれていくようです。嫁に出す予定の女の子はいないから、節句が終わってもしばらくいていただこうかな。
頭の隅に根拠のない心配があったのですが、髪は伸びていませんでした。ほっ。