銀杏
立派な銀杏がある神社にあって、私はこの季節、その木に会いにゆきます。
参道に並木になっているので、御神木というわけではないようですが、
この木の幹に触れて、パワーをもらえるような気持ちになります。
今日は、寒さは年末並みらしかったですが、日中は日差しに溢れ、空は高く、青く、澄んでいました。
銀杏は好きな木のひとつ。
木の大きさ。天高く梢をいただくその形とバリエーション。一枚の葉の形。色を変えるときの鮮やかなイエロー。葉が重なって黄金の絨毯のようになる様。
小学校の頃、裏校門に大きな銀杏の木があって、庭掃除の当番のとき、
男子などはぎんなんを踏みつけては「くせぇ」と悪ふざけします
・・・むしろ手にした庭箒は、彼らにとって基本的に飾り物かチャンバラの剣であり、彼らはまともな掃除要員にはなりえませんでした。
寒いし、エンドレスにも思えるみんなが嫌がった庭掃除を、私は密かに楽しみにしていました。
熊手で集めてはちょっと散らして地面に抽象画を描くような気分になってみたり。騒ぐ男子を尻目に私は私の世界に入っていましたっけ。・・・私もまともな掃除要員ではありませんでしたか。
この、ぎんなんの土臭い独特な香りもそう嫌ではありませんでした。
ぎんなんを拾っては持ち帰り、母に煎ってもらったものです。
見た目の黄色も鮮やかに、ほくほくした味わいが大好きでした。
だから、ひとり黄金の銀杏の落ち葉をかき集める校庭掃除当番は大好きだったのです。
学生の頃は、上野公園の美術館裏の大木に夜間は間接照明があてられて息を呑む美しさでした。・・・昼間の青い空に映える黄色が、漆黒の夜に柔らかな光で浮かび上がる神秘的なシーンでした。
また外苑前の並木も散った葉が黄色い絨毯となって、とても美しく圧倒的に力を持った風景で、
ひとり何時間もそこにただ佇んでいたこともありましたっけ。
この地に住んで、ここは晩秋ひと息つきたいとき、訪れる私の大切なパワースポットです。