縮退について8枚のスライドでまとめてみたら
ハミルトニアンに対称性があると、同じエネルギー固有値を持つ固有状態が複数あることが多く、それを縮退と言います。対称性があると縮退があることが多く、縮退があると粒子が動けるようになるため、その対称性が破れることが多いです。そもそも量子力学において粒子が動いている状態がイメージしづらいので、そのイメージをつかむために縮退について学ぶことは有用です。今回は、そんな縮退について見ていきます。
波動関数を実部と虚部に分けることで、シュレーディンガー方程式と等価な二つの方程式が得られます。
片方の方程式は、確率保存則についての式です。
もう片方の方程式は、古典力学と似たような式になります。ただし、確率密度で表される、局在するとエネルギーが高くなるような項に量子力学的な効果が入ってきて、この項によって粒子がぼやけます。
縮退があれば粒子は動けます。
角運動量演算子の2乗の固有状態は、角運動量演算子の固有状態と同じになりますが、2乗することによって左回りと右回りの状態が縮退します。縮退した状態を重ね合わせることで、粒子が回転している状態を表せます。
運動量の2乗の固有状態も縮退しています。
並進対称性が離散的な場合、結晶運動量というものを定義すると見通しが良くなります。
理論の対称性よりも状態の対称性の方が低くなることを、自発的対称性の破れと言います。自発的対称性の破れがあると、破れた対称性に対応するギャップレスなボゾンが生じます。ギャップレスは、励起に最低限必要なエネルギー(ギャップ)が0(レス)だという意味です。ここで、破れた対称性の生成子の中に互いに非可換なものがあれば、対応する歳差運動のようなボゾンが2個の生成子に対して1つ生じて、残りの生成子に対応する単振動のようなボゾンが1個の生成子に対して1つ生じます。例えば、マグノンの場合は生成子が互いに非可換なので、歳差運動のようなスピン波のボゾンが生まれ、フォノンの場合は生成子が互いに可換なので、単振動のような格子振動のボゾンが生まれます。
私は、縮退があると粒子が動けるということに対してイメージが湧くようになって、だいぶ量子力学にも慣れてきたな、と思うようになりました。やっぱり止まってるより動いた方が楽しいですよね。