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『永久の記憶永遠の幻』

2017.07.25 10:51

 もしも、あの時に戻れるのなら。


 何かが変わっていたのだろうか。


 失うことを畏れ過ぎて、自らの手で壊してしまった幸せを悔いていると言うには、我儘だと解っている。


 来るか来ないか判らない、別れを恐れた。


 あまりにも、幸せだったから。


 失うことが、耐えられなくて、いつか、どちらかの心を変えてしまう時が来る事が苦しくて.....。


 だから、あなたを愛し過ぎる前に、幸せから手を離してしまった。


 赦されるなんて、思ってはいないけれど、こんな麗らかで優しい朝に照らされていると、あなたのことを、あなたと刻んだ穏やかな時間を思い出す。


 想い出は美し過ぎて、儚く脆くて、それ故に愛おしく、深く胸に残る。


 春の終わりを惜しむように、はらはらと散ってゆく桜花のように、淡く優しく切なく、いつまでも消えない幻のように.....。

 

 掌に掬おうとしても、零れ落ちてゆく水のように、夏が上げる刹那の飛沫のような、束の間の時間、永遠の幻。


 もしも、あの時に戻れるのなら、ただひと言、


 『愛してた』


と伝えたい。


 あの日、あなたと過ごした時間は、一番幸せな季節だったと。


 忘れ得ぬ永久の記憶、永遠の愛の幻。



photo/文:麻美 雪