Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

空想都市一番街

銀の子羊と、優しい獣・ファイテングレナ② ☆BL

2021.12.18 14:29

「前にも」って、どういう意味だろ。


別に、どこかで誰かと会話してて、そんな話になっただけだろうけど。


でも拓也さん、外で誰かにそんな話する?料理の話なんてしてるの聞いたことないし…


でもそれは私が知らないだけかもしれないけど。


…もしかして。


レナは直感的に、この部屋で誰かに食べさせたのかな?と思った。


「ねぇ拓也さん、意外だって誰に言われたの?」


「え?悠斗だよ」


拓也はなんでもないことのように言った。


「悠斗この部屋に来たんだ」


「ああ、あいつ遅番多かったし。たまに来てたよ。」


「なんだそっかあ。」


心配して損した。


レナはホッと胸をなでおろした。


「なに、それがどうかした?」


「ううん、なんでもない」


拓也は女心に関しては本当に本当に鈍感だったので、レナが何を思っているのかなんて想像つくはずもなく、ふうん、と返事をするとシャワーを浴びに行った。


私の思い過ごしか。

でも、拓也さんに女ができたら悲しいなぁ。悔しくて泣くかも。


なんて思いながら何気なく拓也の部屋を覗くと、そこにはレナにとって衝撃的なものがあった。


拓也の枕のとなりに、枕みたいに畳んだバスタオルがある。


え??



ちょちょちょ、あれまさかまくら代わりじゃないよね?ただのタオルだよね?


でもなんであんなとこにあんの?


レナはそっと近寄って見てみた。


真ん中へこんでる。これ、誰か寝たあとだ。


じっと観察してみると、そこには銀髪の髪が付着していた。拓也のじゃない。


銀髪?…悠斗?


いやいやいや、とレナは首を振った。


そんな訳ないし。なんで拓也さんと一緒に寝るのよ。


そしたら、ここに寝たのは銀髪の女だ。


短いから、ショートヘアの銀髪の女。


拓也の音楽関係の交友の中にはきっとそんな人間もいるだろう。


科捜研みたいにこの毛髪をDNA鑑定したいところだけどそんなことできるはずもない。


レナは心の中が混乱して泣いてしまいそうだった。拓也が誰かのものになってしまう。


「おーいレナ、何してんの?」


シャワーから出た拓也が声をかけた。


「わっ!な、なんでもないよ、小説なにか借りようと思って。遠藤周作借りるね」


「おう、『沈黙』か?ヘビーなチョイスだな。麦茶飲むだろー?」


「あ、うんありがと。」


レナは落ち着こうと一呼吸してリビングに戻った。


「ねえ拓也さん、あのさ…」


レナは銀髪の女のことをどうやって探ろうか、頭をフル回転させていた。


ストレートに聞くのは、怖い。


だから、遠回しに。


「あのさ、友達が…写真撮ってて…そうそう、被写体探してるの。女の人で、見た目がインパクトある人がいいんだって。例えば髪が、銀髪とか。

かっこいい人。拓也さんの知り合いにいない?」


「インパクトのある女?んー誰かいるかな」


「きっといるでしょ、あ、そうショートカットの人の方がいいみたい」


レナはいつも愛想がないだけあって、何事も無いようにうまく振舞えている。このまま情報を引きずり出せば…


「いねぇな。ロングの紫の髪のやつはいるけど、ショートカットはおとなしい感じのやつばっかりだし」


え?いないわけがない。レナはさらに頭を回転させた。


「音楽関係の人じゃなくたっていいんだよ」


「そう言われてもなあ。俺音楽関係の知り合いばっかりだし、他にも特にいないなぁ」


「あれ、銀髪の人、いなかったっけ?なんか前にどこかで見たような気がするんだけど。拓也さんの身近にいない?」


思い切ってかなり突っ込んだ探りをいれてみた。


「そんな奴いねぇよ?お前の勘違いだろ。他に考えてるけどピンとくるやついないなぁ。悪いけど」



いないっ!



拓也は彼女のことを隠しているのだ、とレナは思った。


「銀髪のショートって言ったら、悠斗しか出てこないな。あいつでいいんじゃん?綺麗だし。…って違うか」


「悠斗は男でしょ。いくら綺麗でも男なんだし違うよ」


だよなーと言って、拓也は麦茶を飲んだ。