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鍵谷カナ頌功堂 木子七郎と松山(3)

2017.07.26 11:00

愛媛・松山には、宮廷建築家として活躍した名門 木子家に生まれた在阪の建築家、木子七郎が設計を行ったいくつかの建築が現存しています。今回はその中から「鍵谷カナ頌功堂(しょうこうどう)」を紹介します。

鍵谷カナ頌功堂は、伊予絣の創始者である鍵谷カナの功績を称えるために昭和4年(1929)に建てられました。

構造は鉄筋コンクリート造。萬翠荘や石崎汽船旧本社ビルとはちょっと毛色の違う建物ですね。

八本の円柱が八角形の屋根を支えていますが、この柱はエンタシスといって、真ん中が膨らんで上が細くなっています。バランスがいいし、見上げると上が細く見えるので、より高く見えるんです。

また、柱の上部が丸くなっているのが分かりますか? 少しマニアックな話ですが、日本のお寺の柱の上の部分を丸めるのは、禅宗様という鎌倉時代に宋から輸入された建築様式です。木子七郎のお父さん、清敬は京大工の棟梁でしたが、木子七郎は洋風建築だけではなく、和の美学にも長けているんですね。少し離れると、屋根の出具合や反り具合といい、日本の建築を理解していないとできないデザインではないでしょうか。

木子七郎は和・洋ともできるという稀な才能を持つ建築家として慕われたようです。