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富士の高嶺から見渡せば

やりたい放題、とんでも映画「軍艦島」

2017.07.26 08:47

どういう心算(つもり)でこんな出鱈目な映画を作ったのだろうか?問題の韓国映画「軍艦島」は7月26日から公開が始まった。予告編を見る限り、日本の産業近代化遺産の島「端島炭鉱」がまるで戦場かテロ現場のようになっている。

反乱を起こした朝鮮人労働者たちがライフルを持って日本軍を狙い撃ちする戦闘シーンがあるが、そもそも三菱炭鉱という私企業が経営する島に、日本軍が部隊を配置する訳がない。

登場人物のなかには、彼らが「性奴隷」だと称する「慰安婦」が登場し、むごたらしく虐待されるシーンや、歴史上ありもしなかった「韓国正規軍」だという「光復軍」に所属し、しかも米戦略情報局(OSS)の要員だという謎の人物まで登場し、韓国メディアでさえ、まるで「『スーパーヒーローがアウシュビッツ収容所に潜入してナチスの兵士たちと戦う活劇』を見ているような錯覚に陥る」(朝鮮日報)と呆れるほどだ。

韓国紙の報道によると「画面いっぱいに広げられた旭日旗は真っ二つに裂け、日本の軍人は火に焼けて死ぬ渦中に首を切られる。朝鮮人は火炎瓶を作って日本に投げる。朝鮮人に対する暴力もまた赤裸々だ。性搾取と電気拷問から始まり、鋭い釘の上に人を転がして殺す方法まで、詳細な描写が出てくる」(中央日報)というが、やりたい放題、支離滅裂だ。

映画の公開を前に行われた記者会見で、リュ・スンワン監督は「『軍艦島』が単に映画を鑑賞するだけに終わるのではない、強烈な体験になることを願う」とし、また「映画を見終わったあと、まるで全身をなぐられたかのようなしびれを感じてもらいたかった」(中央日報)とも発言したというが、いったいどういう意味なのか。真実はゆるがせにできないはずの「歴史」を材料に使いながら、理性より感情に訴えることができればそれでよく、27億円という制作費を回収し金儲けするためには、なによりも話題性と衝撃を社会に与えれば、それでいいという考え方なのだろう。

いみじくも韓国の映画評論家も、旭日旗を裂く場面などを例にあげて「リュ監督は直接的に観客にカタルシスを与える方へスタイルを変えた」(中央日報)と評したという。つまり、歴史的な真実など関係なく、日本を徹底的に貶め、蔑むことで、観客の日頃の鬱憤を晴らさせ、とりあえず溜飲を下げさせる効果さえあればいいのである。

ところで、この映画に関する韓国メディアの評価も真っ二つに分かれている。この映画が、歴史的な真実と大衆受けを狙った娯楽性という「二兎」を追った結果、「中央日報」の記事(7月21日)は、「二兎を得るのに成功した」と評価しているのに対し、「朝鮮日報」(同日)は「二兎を追った結果、作品完成度は下がり、歴史物というジャンルを超えてロマンチック・ファンタジーの方向へと急速に傾きバランスを失った」と真逆の辛口批評をしている。これほど評価が分かれるということは、まともな判断力さえあれば、冷静かつ正当な評価を下してくれると期待したくもなるが、情緒至上主義の国民性からすると実際はどうなるのだろうか。また、聯合ニュースによると、この映画はすでに欧米やアジアなど113カ国への販売が決まっているという。もはや韓国だけの笑い話では済まない状況になっている。

この映画が歴史を捏造し、真実を偽った映画だということは、端島炭鉱と朝鮮人の「徴用工」の問題を無理やり結びつけたことで初めから分かりきっていた。日本が朝鮮半島で行った労務動員は1939年1月から実施された「募集形式」、42年からの「官斡旋方式」、そして44年9月からの「徴用令方式」の3段階に分かれていた。端島炭鉱には42年以降は、推定で朝鮮人800人が働いていたほか、中国人捕虜204人が労働に従事していたことが分かっている。また「長崎在日朝鮮人の人権を守る会」が端島で発見した1925 年~1945 年までの「死亡診断書」によれば、日本人を含めた死亡者総数1,295 人のうち、朝鮮人死亡者は122 人、1939年以降に限っていえば48人だという。(中国人死亡者は1944年以降で15人)。

つまり、強制労働や徴用令とはまったく関係のない1925年当時から朝鮮人労働者は端島炭鉱で自らの自由意思で働いていた。また死亡者についていえば、日本人も朝鮮人の10倍近くの犠牲者を出していた。彼らが同じ厳しい環境で働いていたことに変わりはなく、そこに差別はなかったはずだ。端島炭鉱が朝鮮人労働者の犠牲のうえに成り立っていたという事実はどこにもない。

それにもかかわらず映画では「日本の近代化と軍国主義が朝鮮人に対する悪らつな搾取と収奪に基づいていることを印象的に見せる」(朝鮮日報)ためとして、地下1100メートル、45度の熱気に包まれた坑道で、朝鮮人労働者が働かされるシーンは白黒で表現し、日本人がいる地上とははっきり色分けする印象操作を行っている。

わが父祖たちの輝かしい歴史、新しい技術を取り入れ、自らの知恵と工夫で厳しい条件を克服した進取の精神、日本の産業近代化という公のために果たした多大な貢献と犠牲、それらは世界歴史遺産に値する十分な価値を有することは明らかだ。

そうした日本人の優れた特質、能力は、率直に言って朝鮮半島の人たちには古来より持つこともできず、歴史上、一度も発揮することもなかった能力、特質である。そうでないというなら、韓国独自の産業近代化の歴史をお得意の韓流ドラマで映像化し、証明して見せて欲しい。

我が誇るべき父祖たちの輝かしい実績と遺産、歴史の真実を冒涜するような「捏造映画」は決して許すことはできず、その欺瞞と虚偽の告発は今後も続けることになると思う。