いや〜!この暑さには本当にマイルっス!(渾身のジャズダジャレ)
ジャズという音楽は今年で100周年を迎える。正確には、初めて商業レコードに「Jazz」という文言が記載されて、発売されてから今年で100周年らしい。
民族音楽などを除き、世界中で愛されている音楽ではクラシックの約300年に続く長生きっぷりだ(ちなみにロックは誕生から約60年ちょっと。まだまだ先輩には及ばない)。
どうしても、偏屈なメンドくさいおっさんが好きな音楽というイメージ(偏見)が付きまとうジャズというジャンルだが、ここであえてジャズに興味がないフジロッカーやサマソニリア充どもに俺のジャズ魂をぶつけてやる!ミュージシャンを無理やり推薦してやる!いや、別にフェスに行けない私怨とかそんなんじゃないです…。
アーティスト:Robert Glasper
曲名:I Stand Alone
まず、最初は新世代ジャズミュージシャンの筆頭、ロバート・グラスパーから。
彼自身はオーソドックスなジャズミュージシャンというよりは、ブラックミュージックの中のジャズをどう解釈するかという、意識高い系()なイメージも強い彼だが、この曲ではラッパーのコモンとFall Out Boyのパトリック・スタンプをフィーチャーし、ジャジーヒップホップなナンバーに仕上げている。パトリックというロックサイドの異文化も巻き込み、ジャズの中に落とし込んでいく才能はクリエイティブであると同時にエディター的な能力も発揮している。
彼はアルバムによってヒップホップやエレクトロニカ色を強めたり、また、逆にスタンダードにジャズナンバーを仕上げたりと、非常に振れ幅も広いが、もし、この記事で興味を持った際にはアルバム単位でも聴いて欲しい。
アーティスト:John Coltrane
曲名:My Favorite Things
ロックが好きなオタクのみんなも名前くらいは見たことがありのではないだろうか。
ジャズ界の鬼才。ジョン・コルトレーンの登場だ!
この場では彼が生涯愛し、演奏し続けた名曲である「My Favorite Things」を紹介。
そもそも映画の「サウンド・オブ・ミュージック」劇中で使用されて有名となった曲なのだが、コルトレーンは彼流に精神世界を深く突き詰めた独自のジャズサウンドにアレンジ。
約2分半の原曲を13分以上に世界を広げ、コルトレーンの思想とでも言うべきサウンドがリスナーの脳内を支配するえげつない曲に仕上がっている。
今回リンクを貼った演奏はアルバム
「MyFavorite Things」からだが、晩年コルトレーンがフリージャズに耽溺した時期の演奏もまた違った味があり趣があるので、興味があれば是非探して聴いてみて欲しい。
アーティスト:Miles Davis
曲名:So What
最後はジャズ界の巨人。ビートルズやフランク・シナトラと並び20世紀のポピュラーミュージックの最重要人物…マイルス・デイヴィスにご登場いただきたい。
マイルスはそもそも活動時期が40年代終わりから90年代前半までと非常に長期に渡り、時期により小規模のモダンジャズから多メンバーのフュージョンバンドまでと演奏形態も幅広いので、こんな小コラムの場ではその魅力を語り尽くせないのだが、彼の代表アルバムである「Kind Of Blue」に収録された名曲「So What」を読者の皆様に入り口の一曲として紹介したい。
そもそもこの「So What」はマイルスの口癖でもあったようだ(それがどないしたねん⁉︎という意味)。
口癖が曲名になったこの曲の特徴はとにかく、マイルスのトランペットソロを聴いて欲しい。表現力の塊とでも形容したくなる、鬼のソロが初っぱなから炸裂する。
「俺がボスだ」と言わんばかりの場の支配力が緊張感を演奏に与えている。前に紹介したコルトレーンがその後にサックスソロを吹いているのだが、実力者の彼ですら、マイルスの支配力には敵わない印象を受ける。
ロックのようにキャッチーでもなければ、ソウル音楽のようにファンキーでもない。ただただ、リスナーの心を美しく流れていくサウンドがいつの間にかみなさんをマイルスの虜にしてしまうのだ。
つらつらと書き貫いてきたが、こんなジャズの表層をなぞったあっさい記事でも、ジャズを聴いたことのないみなさんの興味付けになればと願うばかりである。
追記:目力がすごい…