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初夏に、あく

2017.07.27 15:35

鬱屈した日々が続き、抑圧された感情が別の意思を纏って心に募る。

晴れない空の下で、眼差しまでもが曇っていく。

閉ざした岩戸の闇の中で、時間ばかりが過ぎていき、幽離した意志は他者の存在を否定する。

そんな人の感情などとは関係なしに季節はすぎて、強い日差しとともに、梅雨が開く。


秋に覚えた人の習いを放り出し、冬に知った芸のさわりを瞳に映すが眠くなる。

春の夢には嫌気がさして、夏の誘いが億劫になる。

初夏、人が為すこと、人が人でいることにすっかり飽く。


上昇する気温とは裏腹に、心はどこまでも冷めていく。

知った顔を一つ一つ心から消していき、覚えたことを一つ一つ頭から消していく。

名前を忘れ、言葉を忘れ、最後に残った自我も消して、頭と心がすべて空く。


すべてを無くした後で無我のままで岩戸を開ける。

闇の世界が光に包まれる。

空の頭と心に意識が宿る。新たな心とともに、新たな世界が幕を明く。