ヴァチカンの野望4-モーツァルトの街を創った男
2017.07.28 05:30
南ドイツにも、アイルランド出身者が来ている。バイエルンの使徒と呼ばれる聖マリヌスとアニアヌスコンビ。聖キリアンと同世代とされている。2人はバイエルン地方を40年間宣教して殉教したとのことだ。
やはりバイエルンの使徒と呼ばれる聖ルペルトは、フランク王家の血筋といわれ、フランク王の要請に従ってバイエルン地方に宣教に行った。彼はバイエルン公爵テオド2世の改宗に成功した。公爵は696年、ジュバブムという岩塩の採れる古い町を寄進、ルペルトは、ここの塩坑を開発し、この街を大いに発展させた。
この街は塩にちなんでザルツ(塩)ブルク(砦)と命名された。モーツァルト生誕の地として有名な町の由来である。ルペルトはこの街の象徴ともいうべきペトロ修道院を建て、798年に大司教区に格上げ、後にドイツの首位司教座都市まで発展することになる。
次の修道院長聖フェリギリウスもアイルランド貴族出身。彼は天文学や幾何学にも造詣が深く、「宇宙誌」などを著した。彼は聖ルペルトに捧げた大聖堂を建て、学問を奨励した。そして中世を通じて学芸都市として北のローマと言われる美しい都市になるのである。
下は聖ルペルトに捧げられたザルツブルク大聖堂