「帰ってきたヒトラー」あの人をジョークにしちゃうドイツ人はすごい
「帰ってきたヒトラー」という映画を見ました。昨日「ミケランジェロ・プロジェクト」を見たので、ヒトラーシリーズということで。
本作はドイツで200万部の大ヒットを記録したフィクションの小説が原作。ドイツはヒトラーネタをエンターテイメントにしてしまうまで消化したのか、と単純にすごいと思った。当時ドイツがやったことは悪い、としっかり認識した上でやってのけてる。日本じゃ絶対、戦時下のトップをジョークに出来ないだろうなぁ。そもそも歴史認識だって、ドイツ人のそれに比べたらまだまだなんだから。
映画の感想ですが、かなり面白く、考えさせられる作品でした。
なんと、ヒトラーが2014年にタイムスリップしてしまうというありえない大胆な設定。現代ドイツにいてもヒトラーはヒトラー。見た目も言動もそのままなので、周りの人は彼を、ヒトラーを真似たモノマネ芸人として扱います。
ヒトラーの人気は鰻登り。元々人を引っ張る能力はあるので、現代ドイツ人達を次々に虜にしていきます。そもそもの設定がありえないので、コメディタッチな映画なのですが、現代社会に警鐘を鳴らす作品となっていると思います。
映画の途中でヒトラーがドイツ中を回り、街の人達に街頭インタビューを行い、現代社会に対する不満など色んなことを聞いていく、という部分があります。この部分はドキュメンタリーになっており、街の人達の反応も演技ではありません。ユダヤ人排斥は過去のドイツが行ったことですが、果たしてドイツはその歴史から学んでいるのか。外国人、特にイスラム教徒に対して腹の底ではどういう気持ちを抱いているのか。この映画を見て、ユダヤ人から矛先が変わっただけで、また同じことが繰り返されるのではないだろうか、という空恐ろしい気持ちになりました。
近頃世界が少しずつ右傾化しているように思います。アメリカはトランプ政権となり、オーストリア、オランダでは僅差で右翼が負けるという結果になりました(フランスは途中経過のみ僅差)。「僅差」だなんて、もしかしたらヨーロッパのどこかで第二のトランプが近いうちに生まれてしまうかもしれません。
この映画はコメディ的な感じで見やすいし、2時間弱の作品なので気軽にさくっと見れると思います。でも現代社会に警鐘を鳴らす作品です。ふざけてるけど、よくよく考えると結構怖い。