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空想都市一番街

青い悪夢①

2021.12.19 12:37

大丈夫。大丈夫。


忘れてしまってもいいんだよ。


いつか必ず忘れるんだから。


君、生まれる前を覚えてる?


ね、何も覚えてなくても


ちゃんと生きてるだろ?




「セナさん!セナさん!」


「…ん、あれ?忍さん?」


「どうしたんだよ、凄いうなされてたよ!僕心配で…」


忍は泣きそうになりながら、ボロ泣きになってるセナの顔を覗き込んでいる。


「ああ、なんだ、夢かぁ。はぁ」


「怖い夢見たんだね」


セナはうん、と答えて忍に抱きしめてもらった。


「どんな夢を見たの?」


忍はセナを撫でながら聞いた。


「その、忍さん、俺は忍さんを愛してるよ…その、」


セナは話の要点を伝えるのが苦手だ。言いづらいことやうまく言えない時は時間がかかる。


忍はそれを分かってるので、辛抱強く先を待った。


「だから、これは、あんまり言いたくないんだけど、でも、やっぱり言いたいから、その」


「いいよ。言いたいんでしょ。僕は聞くよ」


そういうとセナはバッと顔を上げて忍を真面目な顔して見つめて、ギュッと抱きしめた。


「ユイちゃんの夢。青い髪の悪魔が俺に言うんだ。忘れてもいいって。俺は、忍さんを愛してるけど、ユイちゃんを忘れたくない。忘れたくないんだ…」


セナはまた泣いた。


「セナさん…いいんだよ。忘れなくていいんだよ。セナさんの大切な思い出、ちゃんと持っていていいんだよ。」


忍は愛するセナを体を、セナが安心するまで撫で続けた。