日本の国際協力で建てられたティカル遺跡の保存研究センター
グアテマラの「ティカル遺跡」(1979年、UNESCOの世界遺産に登録)には、なんと日本の国際協力によって建てられた博物館があります!正式には「ティカル国立公園文化遺産保存研究センター」という博物館で、日本の政府開発援助(ODA)のひとつである文化無償資金協力として、2010年度にスタートした「世界複合遺産ティカル総合プロジェクト」によるものです。
このプロジェクトの日本の大学研究機関代表として参加した金沢大学国際文化資源研究センターによると、保存研究センターは建設は、外務省、国際協力機構(JICA)、国際交流基金、日本の大学が一体となってマヤ文明の遺跡がある中米の文化資源保存と活用を支援する広域協力事業の中心的事業なんだそうです。
グアテマラ文化スポーツ省文化自然遺産副省と連携をしながら、ティカル遺跡の「北アクロポリス」の測量調査などを行なったそうです。
金沢大学によると、ティカル遺跡は、古典期マヤ文明(紀元3〜10世紀)を代表する古代都市遺跡として、測量調査が行われたティカル国立公園の中心部16平方キロメートルだけでも、3000以上の建造物が確認されているそうです。
同時に、自然遺産としてのティカル国立公園は、約576平方キロメートルの熱帯雨林地帯で、メキシコからグアテマラにわたって21000平方キロメートルの範囲を超えて広がるマヤ生物圏保護区の中核地帯となっており、352種類の鳥類、100種類以上の哺乳類、25種類の両生類、ワニ、亀、トカゲなど105種類、50種類の爬虫類(ヘビ)、チョウ535種類などがこれまでの調査で確認されているんだとか。
ティカル遺跡を数時間歩いているだけで、四方からいろんな動物や鳥の鳴き声が聞こえて来ますし、今まで見たことのない樹木や植物もたくさん目にします。「ジャングルの中のマヤ遺跡」と呼ばれるように、ティカル遺跡が豊かな生物多様性と貴重な文化的資源の両方を兼ね備えた世界遺産であることがわかります。
ティカル国立公園文化遺産保存研究センターは、小規模ではありますが、ティカル遺跡から発掘された出土品の土器や狩猟具などが展示・保存されています。併設の博物館は有料ですが、このセンター部分は一般に無料解放されています。
広大なティカル遺跡を見て歩いたあとで、わざわざこのセンターに足を運んでいる観光客はほとんどいませんでしたが、グアテマラと日本の共同プロジェクトでもあるので、ぜひ訪れてみることをお勧めします!