Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

生島尚美さんエッセイ / バリ一代ドタバタ記 (生々流転vol.21より転載)

2017.08.01 02:42

  第10回「大きなキッカケを作ってくれたシンガポールからの恩人」  

今年(2017年)になって、15年ぶりぐらいに再会したYTさん(後列中央)ご一家と著者(後列右端)


偶然見かけたとても素敵な人、うっとり見とれるほどのその人がその翌日、自分のお店に本当に偶然やって来たら?


 バンコクから遊びに来ていた大学の友人を迎えに空港に行った時、空港で「その女性」を見かけました。華やかな印象とお洋服に心奪われ、靴までどんなのだったか覚えていた人が翌日私の、街の中心からかけ離れたsisiにやって来たのです。


 それは案の定「道に迷って」。 


 「ん? 日本語の本があるね、日本人じゃない? 聞いてみようよ」と旦那様らしき方と話しながらsisiへ。目的地をお伝えした後に「あの、昨日空港にいらっしゃいましたよね? こんな格好されていましたよね?」とあまりに詳細まで言う私に、ちょっと緊張した面持ちのその方は「あまりにきれいな人だったので!」と言うと恥ずかしそうに「そんな〜」と笑って下さいました。


 そのYTさんはシンガポールで、中華系シンガポール人のパートナーとともに人気のネットショップを運営されている方でした。2000年初頭はオンラインのネットショップがちょっとずつでき始めていた頃だったでしょうか。


 カリスマショップ、と言っても過言ではなかった彼女のお店。当然ながらインターネットに疎く、自分のパソコンすら持っていなかった私には「へぇ、そんなにたくさん注文が入るのですね」とお話を聞いて感心するばかり。初のバリには完全に休暇で来たのだけれど、 素敵なものが多くて「実はちょっとずつ仕入れもしちゃってるんです♡」と話すYTさんが「sisiの商品は卸してもらえるんですか?」とおっしゃったのを、どこか他人事のように聞いていた私は「できるらしいですよ」なんて答えたような覚えがあります。  じゃ、取り敢えず15個ぐらい下さい、とすぐに選んで頂き、メールアドレスを交換して、そこからYTさんとのお付き合いが始まりました。 


 彼女のお店の看板商品は別にあり、「それだけだとお客さまもつまらないだろうし」とのことで、ちょこちょこそろえていた雑貨の仲間入りをしたsisi。その時代「オンラインショップ」を運営したい人のまさに「お手本」となっているお店をしていたYTさんのお店で「バリ島のオリジナルバッグのお店”sisi”」と宣伝して販売して頂いてから「あのお店で見たんですが」「うちにも卸してもらえますか?」というお問い合わせやショップに直接来て下さる方が!

 さらに「sisiの商品を同じように卸して欲しいんだけれど」という同業者のお問い合わせに対し、YTさんはなんと私のメールアドレスを教えて下さったりも。

 sisiは最初にこんなビッグでオープンな方に大きく強く引き上げられたのでした。

 時勢が良かったんでしょうね、この後に『アジア雑貨ブーム』がやって来て たくさんのネットショップさんができ、そんなお店さんからご注文をたくさん頂くようになりました。そうなると、そこでお買い物されるような「アジア雑貨好き」の方々がバリ島に直接いらっしゃって 「アジア雑貨ショップなどでよく見るsisiだー」とお店にわざわざやって来て下さるようになったのです。


 あぁ、これでやって行けるのかも? と思い始めた頃、あの事件が起こったのです。


 <つづく>