"不幸"の音に沈みゆく。『She,in the haze』
「こいつらはヤバい。」その一言だけで他には特にYouTubeの音源URLを送りつけてくることもなく、友人から紹介されたバンド。
MVを見て、その悲劇的な世界観に圧倒され、気がついたらデジタルリリースの音源を即座に買い、後日「歌詞カードが欲しい」という理由でCDも注文してしまった。
これがぼくと「She,in the haze」との出会いだった。
こちらのMVを見てほしい。
触れたら壊れてしまいそうなくらい繊細なメロディーライン。静寂と轟音の両方をかき鳴らすギターとシンセ。淡々と時を刻むドラム。透明感のある甘いボーカル。その全てが、歌い上げられている"不幸"な世界のためにある。
そしてぼくたちは、この不幸の霧の中に惹き込まれ、入り込んでいく。
とあるインタビューで「幸せになったら音楽は作らない」とまで言った、メンバーのyu-ki氏。She,in the hazeの音楽は様々なジャンルに形容されて語られる。
「エレクトリックなバンドサウンド」「シューゲイザーのような雰囲気」「メタルのような激しいギターリフ」etc...
でも、彼らの音楽はこの一言に尽きる。
「どこまで行ってもシンプルでストレートに"不幸"だ」
この悲しい世界の、音の霧に包まれてみよう。そして、曲が終わったときの自分の感情に目を向けてほしい。きっと不思議と晴れ晴れとした気分になっているだろう。これがカタルシスだ。
この感情のためだけに、ぼくらは何度でも霧の中の彼女を追って、あそこに飛び込むだろう。
ここまで彼らの"不幸"との付き合い方を読んでいただいたうえで、もうひとつ彼らのMVを見てほしい。
ぜひリスナーのみんなには、何度でもこの不幸を繰り返してほしい。そして、この心が浄化される晴れやかさを体験してほしい。
『She,in the haze』公式Webサイト：http://www.sheinthehaze.com/