組み立てのワンポイント
RCカー開発担当の宮崎です。
毎週水曜日はRCカーの話題をお届けいたします。
世間ではそろそろ夏休みということで、長期の休みを利用してラジコンを組立てようという方もいるかと思います。
そこで今回は、ラジコンの組み立てで知っていると楽に作業できるというポイントをいくつかご紹介したいと思います。
今回は発売されたばかりのインファーノGT3をベースに解説していきますが、メーカーや車種に関係なく使える知識もありますので、ぜひ一読ください。
まずは作業場所の確保。
写真は会社での私の作業スペースです。このくらいあると作業もはかどります。
でも……
実際はお父さん方、キビしいですよね。私も家ではこの半分もないスペースでいろいろイジってます。
では、本題に戻りましょう~
特にレース系のクルマに多く使われている硬い樹脂パーツにマシンビス(ネジが細かいもの)を使用する時のコツです。
ビスのネジ部分に少量のグリスを塗ります。グリスは何用でもOKです。
これだけで何割かは軽い力でビスを締め込むことができます。
次に、皆さんが大嫌いなボールエンドの組立て。
GT3のアジャスタブルタイプ(片方が正ネジ、もう片方が逆ネジのもの)のロッドの場合、センターに調整するための六角の部分があります。
通常、最初ネジ込む時はロッドを手やスパナで押さえるところですが、写真の十字レンチを使うとしっかり固定できて、指が疲れなくてすみます。
ちなみに、品番80165 クロスレンチ 900円で販売しております。
余談ですが、これ1本でプラグやフライホイルナットなどにも対応している便利なツールです。
そして、ボールエンドを最初だけ指で回していきます。
ここでボールエンドがロッドに対して”まっすぐ“であることを確認します。(←ここ重要です)
そうしたらボールエンドの穴部分にドライバーを差込みねじ込みます。
後回しになってしまいましたが、先にボールエンドにボールを挿入してから作業したほうがいいですね。
ボールを入れない状態で作業すると、ボールエンドが変形して動きが渋くなるかもしれません。
そして、次はギヤデフのフタをかぶせる時のコツです。
ギヤデフ本体にオイルを入れ、フタ部分をかぶせる時に大きいベベルギヤを固定するピンがズレてフタがしっかり閉まらないことがあります。
まず、下の写真のように本体側に大きいギヤを置きます。
この時、ピンの位置がわかるように穴に対して90°に置きます。
そして、フタ部分をかぶせるのですが、デフシャフトを外側に引っ張りながら裏返しにすると、ピンがずれることなくスムーズに位置合わせができます。
そして、デフシャフトをカタカタと回して微調整し、ビスを締める前に動作を確認します。
(デフシャフトを回したら、もう一方のデフシャフトが反対に回転すればOKです)
硬い場合はピンが大きいベベルギヤにしっかり入っていないのが原因です。
スムーズに動いたら、あとはビスを均等に締めるだけです。
続いては、アルマイトされたパーツ同士をねじ込む場合の注意点です。
例えばサーボセイバーやダンパー、ホイールナット部分ですね。
オイルでもグリスでもいいので、ネジ部分に少量塗布してください。
オイル分がない状態でねじ込むと、最悪の場合に外せなくなってしまうことがあります。
最後に、クルマを作る時に私が重要視しているところはステアリングまわりです。
ステアリングはサーボからロッドを通してサーボセイバー→タイロッド→ナックルとリンケージを介して力が伝わりますが、このすべてにおいて渋さをとっていきます。
まず、各ロッドのボールがスムーズに動くかをチェックします。
もし、動きが渋い場合はボールエンドの外周をペンチで軽く揉んでみてください。
これを何度か繰り返すと渋さがとれます。
そして、サーボセイバー。
組立ててシャシーに取り付けた状態で抵抗なく左右に動けばOKです(ユニットでスムーズでも、シャシーに取り付けた際に渋くなる時があります)。
渋い場合はベアリングが垂直に入っているかを確認しましょう。ビスナットを少し緩めるなどで解決すると思います。
次にナックル部分。インファーノ系の場合、写真の位置にバリがあると渋さが出ます。
バリの分、キングピンカラーが浮き上がってナックルを上下から押さえつけてしまうからです。
そんな時は、キングピンの穴をイラストのようにカッターで少し削ります。
これらをすべて行ったクルマは、サーボにロッドを固定していない状態でクルマを左右に傾けるとナックルも一緒にカタカタと動きます。
もし、そうならない場合は各部分をもう一度チェックしてください。
ちなみに渋いまま走行させるとどうなるかというと……
一度ステアリングトリムを調整したのにハンドルを右に操作した後、直線でクルマが右に曲がる、逆に左に操作した後、クルマが左に曲がるという症状が起きます。
これは、渋さが原因できちんとニュートラルポジションに戻っていないからです。
このような状態では走行させていてもストレスになるのは間違いありません。
また余談ですが、初心者向けモデルにガタが多いのは精度を詰めることよりも、どんな組み方をしても各パーツが確実に動作することを優先しているためです。
インファーノGT3は、すでにお客様の手に渡り、好評価を聴いたりもしているのですが、一方最初にダンパーやデフに何番のオイルを入れたらよいか? という質問も多く受けました。
まずデフですがフロント10万番、リア1万番、ダンパーはフロント750番、リア850番から始めてみてください。
また、HPに基本となるセッティングシートをアップしましたので、こちらもあわせてご覧ください。
それでは、また次回