「IM BLUMENHIMMEL」Sophie Reinheimer Else Wenz-Vietor
花の絵本といったらやはりすぐに思い浮かぶのはスイスの絵本画家エルンスト・クライドルフの作品でしょうか。
そんなクライドルフからの影響からも多分に受けたと思われる、ですが、世界中に数ある花の絵本の中でも(私も多分今までに100冊以上は花の絵本を見ていると思いますけれど)特に素晴らしいこの絵本は当店でも度々紹介をしているエルゼ・ヴェンツ・ウィエトールの「IM BLUMENHIMMEL」です。
Sophie Reinheimerの花についての詩にヴェンツ・ヴィエトールが挿絵を付けた可愛らしくも美しい絵本で、先に挙げたクライドルフの絵本との共通する部分も見られます。
クライドルフの処女作は1898年に「花のメルヘン」ですが、ヴェンツ・ヴィエトールは1910年頃にキャリアをスタートさせたドイツの絵本作家ですので、やはり少し下の世代になりますね。
遊ぶ子どもたち、美しい花の姿、虫や花の擬人化などはクライドルフの影響をうかがわせるものが見て取れますが、違いを言うと、ヴィエトールのほうが何処か端正といいますか、整った画面構成で絵を見せてますね。
この絵本では特に、ファンタジーよりも、リアリズムによっている部分が感じられますので、そうした部分が違った魅力を感じさせます。
リアリズムと言っても、上げた写真を見て頂けるとわかるように、正確な描写をしながらも、それがイラストレーションとして可愛らしく親しみやすい部分を保ったままそれが描かれていて、そうしたところに気付くと、この画家の筆力に驚かされ感心してしまいます。この部分にこの絵本の他に代えがたい魅力の秘密があるのかもしれません。
こうした高いレベルでリアリズム(写実)とファンタジーを調和させている作風の絵本作家はいただろうか、とちょっと考えてみると、ナンシー・エコーム・バーカートや日本だと林明子さんがそうかもしれませんね。(ふたりとも信じられないほど絵がうまい画家ですね…)
エルゼ・ヴェンツ・ヴィエトールが好きな方には是非見て頂きたい絵本ですし、また挙げさせて頂いた何人かの絵本作家が好きな方にもお薦めです。
是非オンラインストアの方でもご覧ください。
また写真では、当店のブックフレームに入れて撮影をしております。こちらも販売をしておりますので、あわせてご覧ください。
当店の在庫のはこちらです。
「IM BLUMENHIMMEL」Sophie Reinheimer Else Wenz-Vietor
ブックフレームはこちらです。