ジェンダーもやもや
初めてフォーマルじゃないパンプスを買ったのは30歳。憧れの、コツコツいう靴。それまでは、なんとなく「女の人の世界」のものは私には取り扱えないと思っていた。スカートをよく穿くようになったのも30代、ちかくにいたトランスジェンダーMtFの知り合いがいつも穿いているのを見て、「楽しそう!」って思ったから。年をとって、ネイルが大好きになったり、緑のマスカラをつけてみたり。自己満足がとっても楽しい。
30歳で初めて買ったネイビーのエナメルパンプスは足に合わなかった。とにかく足が痛い!やっぱり私には無理だったのか…とうなだれて妹に愚痴ると、「靴修理で広げてもらえばいいよ。あとは、その靴に慣れるために、短い距離から履いてみてね」とアドバイス。さすが!「女の人の世界」はスゴイなあ!と、早速靴を直してお気に入りに。
一方、「男の人の世界」にも憧れる。幼い頃、刑事コロンボのおんぼろ車に乗りたかった。寺尾聡のコート。どんととか清志郎は、化粧してるけど男くさくてドキドキする。マッチョな男らしさではなく、犬みたいな男くささが好き。
小学生の頃は、男になりたくて、髪はショートカットでズボンしか穿かず一人称は「ぼく」を使っていた。落語家も酒飲みも、男の方がかっこいいから。かわいらしい女の子を、どこか見下していた。
今の自分は、年をとって妖怪みたいにメイクした女の人が好き。岸田今日子みたいな。年をとって少年みたいな痛々しい犬みたいな男くさい人が好き。浅井健一みたいな。
自分の中には常に、小さい女の子も、道で寝てるオジサンも、魔女のおばあさんも、酔っぱらいの暴漢も、その他いろいろ混在している。
じゃあ、嫌いなのは?決めつける人。色気がない人。
ジェンダーって、揺れると思う。ずっともやもやしている。
ちなみに現在のパートナー、男だけど全く男くさくも男らしくもない。なんたる不思議。