10月第5週instagram紹介本
先週instagramにて紹介させて頂いた本のまとめです。
日本でも「夜の木」と「水のいきもの」の2冊で知られるようになったインドの出版社Tara booksの「Bestiaire indien」と「猫が好き」が入荷しました。
Tara booksはハンドメイドにこだわった本の制作スタイルで知られる出版社で、手漉き紙にシルクスクリーン、製本も手製本と、暖かみのある本を多く作っています。
その本を開けばインクの匂いが感じられ、ページに触れると紙の厚さやざらざらとした感触に、物としての魅力を強く感じさせてくれます。
今回入荷したものは「Beasts of India」のフランス語版「Bestiaire indien」と「I like cats」の日本語版「猫が好き」です。世界中で愛されているので各国で翻訳されて出版されており、日本でも10月下旬にはタムラ堂さんより新刊の「世界のはじまり」が発売となりますね。
実際に手に取ったかたはわかると思うのですが、その色の鮮やかさと質感に、誰もが吃驚すると思います。「Bestiaire indien」は現在、英語オリジナル版、フランス語版ともに品切れのようです。日本未発売タイトルですので日本で見かけることもあまり無いかと思います。
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お次の宮沢賢治原作の「いちょうの実」は及川賢治さん(100%orange)の仕事の中でも特にデザイン性の高い絵本です。
可愛らしいく描かれたいちょうの実の子どもたちと、記号に見えるほどに削ぎ落とされ、洗練された形となって描かれるいちょうの木の絵には、つい感嘆の声を漏らしてしまいます。
宮沢賢治の、まるで不思議な色をした鉱物のような文章と、及川さんの絵の調和は素晴らしく、最後には涙が出そうになって、ページを閉じて、また溜め息をついてしまいます。
個人的には、数多く出版されている宮沢賢治原作の絵本の中でも、スズキコージさんの「注文の多い料理店」と並んでお気に入りの一冊です。
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こちらはブルーノ・ムナーリの「il merlo ha perso il becco (the blackbird has lost its beak)」です。
透明な薄いプラ板のようなものでページは出来ているのですが、その1ページ1ページにこのツグミの、くちばしや羽などの各パーツが1つずつ描かれています。
ですのでページをめくっていく度にこのツグミの身体の部位は減っていき、くちばしを失い、目を失い、足を失い、最後には、、、という仕掛け絵本になっています。ムナーリの得意な、ページとページの重なり合いを上手く使った本で遊べる仕掛け絵本です。
ちなみにテキスト部分はイタリア語及び英語が表記されていて、そのツグミの身体が無くなっていく様子がわらべうた(積み重ねうた)のように書かれています。
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こちらはスイスの国民的絵本作家、エルンスト・クライドルフの「Alpenblumenmarchen」です。
日本語版タイトルは「アルプスの花物語」ですね。最近は滅多に見るものでなく、値段も高騰してしまっています。
アルプスの豊かな自然がその想像力の源泉となっていると思われる、擬人化した可愛らしい虫や花たちの世界をクライドルフは描いています。
テキストはドイツ語で読めず申し訳ないのですが、調べたところ、それぞれの花にあわせた詩のようになっているようですね。初版はスイスで1922年にオフセット印刷で出版された、それはそれは美しい本なのですが、こちらは1983年の復刻版です。
写真のページの奥に少しだけ覗いている見返しのページが見えるでしょうか?この見返しページにも美しい絵が描かれているのです。こういう細かいところにまで美しい仕事がされていると、無性に嬉しくなりますね。
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こちらは新書館より出版された19世紀後半のイギリス挿絵黄金時代の三人の巨匠に光を当てたシリーズの中の2冊「空飛ぶトランク」カイ・ニールセンと「テンペンスト」エドマンド・デュラックです。 「テンペンスト」はシェイクスピアの最後の作品にデュラックが挿絵をつけたものですが、シェイクスピアの戯曲の中のファンタジーの要素を、デュラックが美しく取り出して見せてくれています。 「空飛ぶトランク」はアンデルセンの童話集にニールセンが挿絵をつけたもので、同時代の挿絵の巨匠たちの中でも特にメルヘン的な絵を描くニールセンが、アンデルセンの魅力を十二分に引き出しています。
このシリーズはどれも判型デザインが似ているので、同シリーズの作品を見掛けたことがある方もいるのではないでしょうか。挿絵の黄金時代と呼ばれた時代の巨匠たちだけあって、どの仕事も素晴らしく繊細で、洗練された絵を楽しめます。
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