「ALFABETIERE」Bruno Munari
こちらは当店でも度々紹介しているブルーノ・ムナーリによる、イタリア語のABC絵本「ALFABETIERE」です。
ムナーリの他の絵本と同様にデザイン性が高く、そして所謂「絵」というものは無い絵本なのですが、とても楽しい感覚が伝わってくる絵本なのです。
絵がない、とだけ言ってそうイメージするような文字だけの絵本ではなく、この絵本は文字、色々なフォントのいろいろな媒体から切り抜きしてきたと思われる(もしかしたらそのようにムナーリが作っているだけかもしれないのですが…)「文字」を幾つも並べて、また大きなその「文字」の形を作っているのですね。
絵で見ると(それを「絵」と私は言ってしまっていますしたが…)一目瞭然なのですが、言葉で説明すると何だかややこしいですね。
幾つもの小さなAで大きなAを作っているのです。
コンクレート・ポエトリーとも思えるようなこうした表現なのですが、見た印象はやはりムナーリ作品的な楽しさが溢れている作品です。
小さな文字の中には隠れたようにイラストも混じり、文字の色や形の組み合わせは、コンクレート・ポエトリーのような無機的な感触からは遠く、とても生き生きとした印象を与えられます。
そうやって作られたその文字(絵?)の横にはそのアルファベットから始まる単語を含んだテキストが添えられていて、それはマザーグースのようなナンセンスな、韻を踏んだ文章なのですが、そのテキストたちが形作る大きな形(これこそコンクレート・ポエトリーですね)も、ムナーリはきっと意図して作っていると思われ、コラージュの文字と、絶妙な形の掛け合いをしています。
文字と文字が、絵になったり、ならなかったりしながら、飛び回ってぶつかり合って、ころころ転がって、文字たちが意志を持って遊んでいるような、そんな風にも感じられる、文字が持つ「意味」と「形」がそれぞれ独立しあいながらも、また調和していく、とても知的で、とっても楽しい絵本です。
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「ALFABETIERE」Bruno Munari