水が合う
深海の熱水噴出孔の側に住むエビやカニなどの生物がいます。
水深2000m以上もの深海で300~400℃もの熱水が湧き、硫化水素やメタンのようなガスを含むこともあるような場所です。
なぜそんな水圧?なぜ熱水?危険な成分を含むこともあるのにと不思議ですが、彼らにとってはそここそが住処らしいのです。
太陽光線も届かない深海で、そこに住む細菌が作る炭水化物を食べて生きているのだそうです。
先日ニュースで、都会の激務で難病を患い、田舎に転地して農業を始めたら治りました…という男性を観ました。
ときどき聴く話ではあるのですが、その方の語り口が穏やかで素敵でした。
「今は、仕事があって暮らしがあるんです。
でも本来は、暮らしがあって仕事があるものだと思うんです。」
誰もが田舎暮らしが合う訳ではないでしょう。
農業や漁業林業などが大変だからこそ、現代の生活スタイルを求める人が増えたのでしょうし。
それはそうとして、まず自分らしいペースの暮らしがあって、喜びを感じつつ仕事ができるというのは、心と身体に大切なのだなぁと感じました。
ときどき、三遊亭圓歌(前名 歌之介)さんの落語を思い出します。体のネタで内容はボンヤリなのですが、肛門が口を羨ましがる台詞がありました。「口はいいなぁ、美味いもんばっかり食べて。オレたちは糞切りばっかりかぃ。」
それとペアで蘇るのが、星新一さんのショートショート『親善キッス』という作品。見た目も文化レベルも地球人とよく似た星に交流に行って、地球流の挨拶だといって美人とディープキスしまくったら、その星の人たちは「口が肛門で肛門が口」だったという話。
地球にも磁気の流れで言う出口入口のような極があることを考えると、何かしら排出の役目の場所、浄化の役割を担う場所、エネルギーの源のような場所などあるのだろうと思います。
エネルギースポットだと話題になると行きたがる人もいますが、人気だからといって自分に合う場所(エネルギー)とは限りません。
また、排出の場所だから良くない訳でもないように思います。
人それぞれお役目があるし、大切なのは自分がそこに適応できるかどうかではないでしょうか。
ただ、家族でも適性はバラバラでしょうから、住む土地が合う人合わない人があったりすると悩ましいですね。
深海エビは、自分を鍛えたくて熱水噴出孔に集る訳ではないでしょう。
水が合うところ、力を引き出してくれる場所に巡り合え暮らせたら幸せですね。