青い悪夢⑥ 完結
2021.12.22 05:11
「今度は、ちゃんと人間の目線で伝えられただろ?」
アオは嬉しそうにそう言った。
「うん。あの人、今度は納得してたみたいだね。忘れてもちゃんと繋がってる、か」
僕はベンチから立ち上がると足元の草を軽く蹴った。
「忘れるってことが、僕ら人間には悲しいんだけどね。たとえ大丈夫でもさ」
「人間は生きてる時のことが大切だからでしょ。だからちゃんと付け加えおいたよ、『思い出を大切に』ってね」
アオは少し得意げに言った。
「私みたいに時間も空間も関係なければ、そんなことちっとも関係ないのに。人間は悲しみが多いね」
「ハハハ。悲しむために僕らは人間してるのかもね。いつかみんながアオみたいに自由になれるといいよね」
僕はまだそうなれないみたいだけど。
満点の星を見上げて、僕はそう思った。