牡鹿半島食堂いぶき 津波の被害にあった古民家が、 人と人を繋ぐ食堂として再生。
4月22日に牡鹿半島の大原浜にオープンした「牡鹿半島食堂いぶき」。東日本大震災で津波にのまれ、大きな被害を受けた古民家を再生したいぶきは、大震災から6年という時間を経てのスタートだった。
リノベーションしたとはいえ、古民家の良さをそのまま残している。靴を脱いで家のなかに入っていくスタイルは、お店に入るというよりも、知り合いの家に呼ばれて遊びに行くという感覚に近い。フローリングだけではなく、畳の部屋も用意されている。畳の部屋のふすまはGRAVITYFREEが牡鹿をイメージして描き下ろした。
「オープンして2カ月。現在は平日は70パーセントが地元の方、週末は逆転し70パーセントが観光の方という印象です。震災後に牡鹿から引っ越された方、石巻の市街地に住んでいらっしゃる方でも、『久しぶりに牡鹿に来た』という方が多く、牡鹿に来るきっかけにいぶきがなっているようです」と堀越千世さん。
ゴールデンウィークには、アウトドア・フットウェアブランドKEENの常設ストアFEEL GOOD STORE by KEENもオープン。このショップはシューズ製造過程で発生してしまった規格外品を特別価格で販売する日本で唯一のショップだ。
「KEENを目的に、県外からもお越しくださる方もいらっしゃいます。リピーターの方もいるし、『次の入荷はいつですか』という電話の問い合わせも少なくありません」
牡鹿の特産品を使ったメニュー「超ほたて丼」と「牡鹿半島かきハンバーグ定食」は、美味しさを追求してマイナーチェンジを繰り返している。季節の魚介類がある利点を生かして、期間特別メニューも検討しているという。
「人と人の繋がりを大切にして、『お昼を食べよう』『お茶をしよう』『飲みに行こう』はもちろん、牡鹿の魅力を発信しながら、いろんな人が集まれる場所になることをこれからも目指していきます」
7月22日から牡鹿半島を中心に〈リボーンアート・フェスティバル〉が開催されている。アートと音楽と食で彩られるお祭り。このフェスも核にあるのは「Reborn(再生)」だ。東日本大震災によって甚大な被害を受け、人口も少なくなっている牡鹿の再生。防潮堤の建設が進む大原浜の近くでは生活感が少なくなっている。それは大原浜だけではなく、牡鹿のほとんどの場所にもたらされている危機に違いない。人がいるからそこに行く。灯りがついているから集う。人がいることからはじまる再生。そのひとつの、そして大きな光に、牡鹿半島食堂いぶきがなっている。
文・写真=宙野さかな text & photo = Sakana Sorano
牡鹿半島食堂いぶき
宮城県石巻市大原浜字町18-1
火~金曜 11:30 – 20:00
土曜 11:00 – 20:00
日曜 11:00 – 16:00
※8/14(月) 11:30-20:00(営業します)
8/14(月)・15(火)は「超ほたて丼」「でっかいほたてのお刺身」のご提供ができません。ご了承ください。
8/17(木)・18(金) 臨時休業