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三頭山(みとうさん)スマホ画面に入らない滝の大きさ。

2017.08.12 00:20

平成29年のお盆は、奥多摩三山のひとつとして知られる三頭山へ来ました。お盆といえば、天気のいい連休の中で親の故郷や旅先で楽しんだ時間を思い出すのではないでしょうか。しかし、この年はまったく天気に恵まれず、迷った末に三頭山を選択しました。ここの標高は1531m標高差531mの山になります。日帰り登山・日帰りハイキングでは、奥多摩三山の中で最初に選んだ山は大岳山。次は御前山を登りました。そして、今回は最後まで残っていた三頭山の登山を計画・実施しました。

自動車で青梅街道411号線の途中を曲がり、奥多摩湖の奥多摩周遊道路を30~40分程度走行すると三頭山の駐車場へ到着します。駐車場へ入ると、東京都が管理する「都民の森」の入口があります。電車を利用する場合、JR五日市線の武蔵五日市駅で下車し、西東京バスで都民の森バス停まで1時間10分の移動となります。奥多摩三山の中でいちばん標高の高い山になりますが、登山時間は休憩も含めて3~5時間と案内されているため、いつものスタート時間より遅くなっても日照時間を焦ることなく歩ける場所です。

入口には、この奥の森林館・木材工芸センターまで送迎するバス乗り場があります。入口左側は、トイレ・案内所・売店があります。ここで「東京都檜原都民の森」という無料のコースガイドをもらっておくと三頭山のハイキングが楽しく安全にできることが考えられます。そして、右側は休憩所・喫煙所になっています。

江戸時代、三頭山は幕府の命令により山内の進入と森林伐採が禁止されていました。三頭山の中でもブナが多く生え、コースの中でも「ブナの路コース」「三頭山周遊コース」が有名になっています。

スタート地点の標高は1000mになっています。最初は「木材工芸センター」まで坂を上っていきます。入口から2本のルートが並行して伸びていますが、どちらの道を使用しても木材工芸センターへ到着します。

この日の前日は雨で、周囲には山霧が出ているため湿度が高くて地面は乾いていませんでした。休みが少ない時や仲のいい人や大切な人と一緒に来る時、晴天じゃないとどうしても悔しい思いになってしまいますが、山で植物たちは雨を嫌がっているのでしょうか。豪雨であったり、強風は土砂崩れになるため、森林たちも脅威かもしれませんが、登山者が水分補給をするように雨に対して笑顔になっているのかもしれません。

先ほどの2つのコースは「しゅらの橋」で合流し、それを過ぎると「ミニ森林館」と標示された小屋がありました。この中には森林館の広告が掲示されています。

ミニ森林館の左には階段があるため、それを上がっていくとトンネルの上に建つ「森林館」へ到着します。森林館は、美しい映像や写真パネルで森林の様子や動植物を紹介しています。大きな窓から緑を見眺められる休憩室、レストランもあります。

トンネルを過ぎると分岐路になっています。「木材工芸センター」へ行くルートと鞘口峠(さいぐちとうげ)へ行くルートに分かれます。

木材工芸センターは、定期的に開催する木工教室や当日でも参加可能な自由教室を実施しており、キーホルダーや手型抜きなどの製作ができます。

木材工芸センターを通過し更に進むと、里山休憩小屋に到着しました。この小屋の左側には川を渡れる橋があるため、そこを利用して三頭山の頂上へ続く「ブナの路」を歩いてきました。そこで見た森林を少し紹介します。

上の写真は「クリ」です。日本のクリの実は縄文時代人の主食でした。クリの実の収穫数がいちばん多い都道府県は、茨城県になります。

上の写真は「ツガ」です。モミの木に似て樹形が端正な特徴があります。モミが山腹に生育するのに対して、ツガは尾根筋によく生育します。

上の写真は「ミズナラ」です。低山帯の代表的な樹木で、秋には地面にドングリを落とします。

前の方に小屋が見えてきました。しかし、小屋の入口は鍵がかけられ、出入りすることはできません。

この小屋の上に登る階段があります。上にもベンチがあるので、休憩することが可能です。

鞘口峠(さいぐちとうげ)に到着しました。標高は1142mに到達していました。

鞘口峠(さいぐちとうげ)の分岐点から左を見ると2つのコースがあります。下は回廊の路で、野鳥観察に最適なコースになっています。そして、上はハイキングに最適なブナの路です。

鞘口峠(さいぐちとうげ)の分岐点から右を見ると山里の路があります。このコースを進むと奥多摩の山並みを眺望できます。

自分たちが選択したのはブナの路でした。上の写真には、真ん中に「イタヤカエデ」が生えています。紅葉の時期にモミジの葉が綺麗に赤く染まります。庭園にあるモミジを多く目にしているため細く小さなイメージを持ってしまいますが、直径1mの幹になるものもあります。

上の写真は「ブナ」です。樹皮はまだらで灰白色です。東京都でブナ林が残っているのは三頭山と日原川流域だけで、大変貴重な植物とされています。

自動車を運転する際、登山靴でアクセル・ブレーキペダルをうまく踏むことがでません。今回の三頭山は、普段靴を履いて自宅を出たため大切な登山靴を忘れてしまいました。普段靴で登山することに不安を感じましたが、三頭山は観光客に優しい山で最後まで足が痛くなることはありませんでした。

標高1400m手前でブナの樹木に囲まれた「見晴し小屋」に到着しました。ここで休憩をとる人が多くいたため、ザックを下さずにそのまま通過することにしました。

この先の登山道もブナの森林が溢れ、枝や葉で大自然のトンネルを作っています。

三頭山からは北東側の御前山に向かうことができます。また、御前山からは東側の大岳山に向かうことができます。奥多摩三山には避難小屋があるため、それを利用して縦走すると大きな登山旅行になります。

この日は、山霧によって木漏れ日の光線が多く見えました。

三頭山の頂上の手前には、展望台があります。この日は山霧によってすべての展望スポットの景色が真っ白になっていました。

三頭山は3つの頂上があることから三頭山といわれています。東峰・中央峰・西峰があり、三角点は東峰です。上の写真は三角点がある東峰で、標高は2番目に高く1528mになります。

上の写真は標高がいちばん高い中央峰で、1531mになります。東峰と中央峰は広いスペースが確保できないため、ゆっくり休憩できるほどのスペースはありません。

3つの山頂の中で休憩に選ぶのであれば、西峰が最適となります。三頭山は山梨百名山でもあるため、西峰には山梨県で管理している山頂と、東京都が管理している山頂があります。

下山はムシカリ峠を通っていきます。ここには三頭山避難小屋があり、トイレも設置されています。

扉が二重になっていて、奥の扉を開けると中にゴミの放置や虫はいませんでした。テーブルは汚れていますが、御前山避難小屋よりも便利にできています。

ムシカリ峠の避難小屋を過ぎたら、三頭沢を降りて行きます。三頭沢付近の地質は、地球の内部からマグマが貫入し、地表に達しないまま地中で冷却個結した深成石から成っています。何千万年前の地球内部の調査をするためにこの三頭山三頭沢は大切に管理されています。

三頭沢は川苔山や御前山の沢と違って、渓流を渡るところに橋は架けられていません。橋の代わりに平らで大きな石が並べられていることが多く、その上を歩いて渓流を渡ることになっていますが、石の上まで水が流れている場所も多くありました。

三頭沢の途中にも、休憩場所があります。緑の苔が溢れる中で、綺麗な木漏れ日が上から差し込んできました。

「大滝休憩小屋」まで降りてきました。中は暗くて休憩しづらいですが、電灯が使用できるため中を明るくして利用できます。また、ここにもトイレが完備されています。

大滝休憩小屋の向こう側には、「滝見橋」が架かっていました。先ほどの渓流が一気に谷へ落ちるところです。その渓流は大きな滝をつくり出し、「三頭大滝」という名称がつけられています。

滝見橋はとても高い場所に架けられ、長さは54.5m、幅は1.5m、高さは30mになります。しかし、滝の大きさ長さに唖然としてしまい、橋の高さや恐怖感を忘れてしまいます。三頭大滝の落差は約35mとされ、橋上から滝全体を撮影できないほど大きな迫力を持っています。

三頭大滝からは優しい道がゴールまで続きます。そのまま森林館へ到着し、そこからミニ森林館の小屋まで階段で降りることになります。そのあとは、コンクリートの道を下って最初の駐車場に戻ればゴールとなります。

登山案内の本から各山の特徴を全て捉えることは難しいことが考えられます。地図や交通案内を見た結果、「遠いかも…。行きにくいかも。」というイメージは登山先の優先順位に大きな影響があると考えられます。三頭山は奥多摩三山のひとつとして、標高がいちばん高くアクセスが困難な場所にあるため他の山を選択されやすいのかもしれません。しかし、三頭山は多くの家族が来て頂くために大自然を利用して遊びや学習、運動の場を提供していることが分かりました。日常の中で家族や仲間と移動しやすい手段が自動車であれば、それを利用して他の山に負けない大自然の魅力を登山初心者や子どもたちと楽しんでくるのもありかもしれません。