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「第二の家」ブログ|藤沢市の個別指導塾のお話

伊坂幸太郎最新作『AX』を読みました。殺し屋から学ぶ勉強術とは

2017.08.12 14:03



最初の一話を読んだ時は、

「あ、もしかしたらつまんないかも」と不覚にも思ってしまった。

他の本を間に読むなど、読む気力がなかなか湧かなかった。

なんとか読み進めた4話で、事態が変わった。やばい。

これぞ伊坂幸太郎の真骨頂!とも言える後半戦で見事にはまった。

驚愕の展開に、目が離せなくなってしまった。

生意気なこと言ってすみませんでした!という気持ちで、

後半は陳謝しながらあっという間に読んだ。さすが伊坂幸太郎。



「最終的に、これはとっても面白い!」そんな逆転の感想は、

私の伊坂作品への期待値の高さにも理由があるかもしれない。



伊坂作品はほとんど読んだ。

『重力ピエロ』『オーデュボンの祈り』『ゴールデン・スランバー』も好きだが、

『陽気なギャングが地球を回す』『死神の精度』『終末のフール』『砂漠』など、

イメージ少し軽めの作品が好きだ。

『アヒルと鴨のコインロッカー』や『チルドレン』もいいな。

『SOSの猿』や『あるキング』など合わない作品もあった。

そんな中、絡み合う伏線と非現実的な登場人物たちがこれでもかと活躍する

『ラッシュライフ』『グラスホッパー』『マリアビートル』は、

男の子だからもちろん好きだ。



その『グラスホッパー』『マリアビートル』の続編となるのが、

この『AX』だ。期待値は当然高まる。



「最強」とか「殺し屋」とか中二病っぽいワードが並ぶが、

今回のテーマは「家族」。

全5作の短編連作集となる今回の主人公は、恐妻家の殺し屋。

所々格好良いけど、所々笑える。最終的には主人公のことが大好きになった。



前作や前前作との絡みも面白い。

作中で裏社会感が当たり前のように出てくるから、

だいぶのほほんとして読んでいたのだが、その怖さを後半戦で知った時、

伊坂作品で以前にも感じた感情がまた甦ってきた。



伊坂作品の主人公達は色んな作品の中で、

とてつもない巨悪や邪悪に立ち向かう。

ある時は勇気を振り絞り、ある時は知らず知らずのうちに巻き込まれ、

またある時は嫌々ながらも、とてつもない敵と対峙する。



僕らは洒落た文体に乗せられながら、

手に汗握りながら、主人公たちに感情移入していく。

そして、いつだってスカッとするような、

最高の勝利を僕らにも味わわせてくれる。

正義は勝つ!を気持ちよーく体感させてくれる(最近はその傾向は弱めだが)。

そんな喜びに似た爽快感が、この本を読破した際にもこみ上げてきた。

そして、もう少しこの物語に触れていたいという愛らしい気持ちと、

ほんの少しの寂しさも。



ともあれ、伊坂作品は僕らに気付かせてくれるのだ。

大逆転の魅力。そして、正義は勝つという絶対的大原則を。



そうだ、正義は勝つのだ。

邪な面倒くさがり屋がたまたま勝利する物語より、

コツコツやってきた者が勝利を掴み取る、そんなストーリーがなんだか腑に落ちる。

やっぱり気持ちいい。スカッとする。ねぇ、それってさ、

僕らの人生にだって通じるものじゃないか。



目標達成のために、

粋な伏線を沢山張ろう。

あちこちに、努力とか願掛けとかいいこととか散りばめておいて、

最後の最後の勝負のときに勝利の女神がこっち側に微笑むように。

絶体絶命でもう為す術ないってときにだって、大逆転サヨナラ満塁ホームランのフラグは、

いつもどこかに隠れていて、あとは勇気を出すだけかもしれない。

胸を張って勝負に挑めるように、つながっているかどうかはその時にしかわからないけれど、

その為の今日を精一杯生きよう。



コツコツやってきたものが、一番強い。

勉強だって同じでしょう。

今の痛みや辛さはさ、そう、最高のフィナーレのための、

粋な伏線だよ。



本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。

今日もせっせと伏線作り。君の物語はまだまだ終わらない。