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ゴッホの木-バウムテスト分析解釈(部分)

2017.08.14 02:27

注}ボーランダー、コッホ等の分析解釈表による       

生い立ち(ズンデルト時代) >1853年3月~1869年7月

1) 11歳 父の誕生プレゼント バウム分析

「農家と納屋」(1864) (下図①)

・幹:ほぼ樹冠と幹で木全体を二分している。年齢の割に幹が長く精神的発達の幼さの可能性が感じられる。

・小高い位置に立ち、孤立が暗示されている。

:幹の中央辺にくびれが見られ、恥ずかしがりで、鬱積し抑圧された感情が暗示されている。

・樹冠:二つに分かれ、間で幹が少しだけ見えている。自信が無く、自分を未だ見せられないと窺える。

・右への傾向:未だ右傾で、献身的、愛情深く他人へ関心を持つ活動意欲が窺われる。

記述による資料

1)第一子が死産だった為、長男としてのゴッホに両親は甘く接した。ゴッホは気難しく、我儘、無口で頑固、強情で強制されるのが嫌いで、人付き合いが悪かった。一人で、自然と対話し、絵を描くのが好きで、「寄宿学校に入るまでに非常に沢山の絵を描いた」 (ファン・ゴッホ書簡集1,みすず書房1969年p.49)読書好きで成績は良かったが、13歳頃から突然癇癪が爆発し、友人と喧嘩し先生や両親を悩まし、寄宿学校から通っていた中学校を退学した。( 「本当は、心の強いやさしい人だ」 と、4歳下の弟テオは信じていた。)

グーピル商会(初期ハーグ時代)>1869年7月~1876年4月

 19歳 1870-73年 バウム分析

2)ハーグの廷内池 (1870-73)(下図②)

2) 全体の特徴:葉がなく外観を気にせず、むき出しで、無防備な自己を推察させる。

幹:瘤のような膨らみがあり、抑圧や、感情の鬱積が感じられる。幹の表面には、ぎざぎざや、散漫な線が描かれていて、不安で、感受性が強く、強く共感同情し、自他の境界認識がはっきりしない事を推測させる。• 枝:奔放な伸ばし方が、特徴的であり、筆圧も強く、抑圧をバネにして払いのけるような力強い生命力が感じられる。しかし、衝動的であるように窺える所が社会的適応の面からは、気がかりな点である。又、閉じてフェンシングの剣先のような尖状枝は攻撃性を示し、下を指すことは、不全感、抑鬱が考えられる。主に中心的な存在となっている右側の木の幹は、「左側への傾斜」が示されていることから、過去への執着、感情の抑制、安全への欲求が窺われる。幹にある左側の陰影は、抑制、内向的傾向、もろさ過敏さが考えられる。(p.62)又、尖った枝は敵意のある仕方で解消する傾向と防衛機制を表す《180》

冠部:大きく横に寄っている事からは、精神的動揺や不安定性が表されていると考えられる。(p.12)また、左に傾向していることは、自閉的に内に向かっており、過去へ回顧している事が窺われる。細かく複雑に分岐した冠部からは、すぐに感知し、開放性で非常に反応し易く感受性の強い知覚の犠牲になる危険性が窺われる。(p.79)曲がった枝の形は「たわみ」の部分があり、強制下にあること不安、退行、適応困難が示唆される(p.97)

記述による資料

2)19歳1869年7月伯父が重役を務めていた大美術商グーピル商会のハーグ支店に就職。16歳の年、画商になるべく就職した。両親の期待に沿ったもので順調だった。画商での仕事は、対人技術を必要としたが、10代のゴッホはこれをこなした。責任者に抜擢され、ある程度、有能であったと思われる。

3)19歳(1870-73)運河 (下図③)

バウム分析

右2本の木に特に気持ちを込めて描いたように感じられる。 幹:右端の木に特徴が良く出ている。細く不安定で、自分に自信が無い。樹冠は葉が無く、枝が描かれているが、枝の上は伸びていて、先がはみだしている。このことから、精力的で未来に期待を持っていて、自分の望む目標を熱心に追求すると見られる。〈p.96〉幹の基部:並木なので多数描かれているが、右から二番目の木の基部は丁寧に筆圧も強く描かれていることから、そこに強く心を込めて投映が成されていると思われる。そして、右側へのふくらみが見られることから、警戒心や頑なな、非協調性が窺われる。

枝:左側へ垂れていて、(p.47)自分への関心が強すぎて、極度に感じやすい。同時に、右端の木の枝は画面の右端へと切れていることで、右側の強調が成されている。右の強調は、他の面への飛翔や、空想生活への逃避が示されている。同時に不安定で落ち着きが無く、強い体験衝動が感じられ、成就欲求が強く傲慢ですらある。

並木を描いた時:左に向かっているので、決意を途中で辞めてしまう事態が予想される。《p.108》

記述による資料

19歳、1872年8月に、4歳違いのテオがハーグを訪れ、兄弟間の生涯にわたる文通が始まる。1871年1月父は、ヘルフォイルトの牧師に任命され、1872年夏、両親のもとで休暇を過ごす。1873年1月に、テオも、画商グーピル商会に就職する。6月、ゴッホ(20才)はロンドン転勤した。

ロンドン時代>   1873年~1880年10月

4)22歳  ロンドンの小スケッチ 1875年4月 (下図④)

バウム分析

幹:細く長い。傾斜した幹は、左側からの外的圧力の意味が加わっており、過度の影響力から逃避している。〈p.204〉

枝:左から2番目の木の枝先が特徴的である。

枝先:繊細な触角のようにとがっており、美しい曲線型である。これは共感性、感受性を示す。(p.43) (弟テオへの手紙に同封された)

1)「農家と納屋」(1864) (図①)

                     2)ハーグの廷内池(1870-73) 図2

3)運河(1870-73) 図3


4)ロンドンの小スケッチ(1875年4月) 図4