STUDY★QUEST3
前回までのあらすじ: これは突然異世界に飛ばされた成績がオール3以下の中3男子が勇者になったお話。
旅の仲間は、勉強の精霊スターマンと大賢者モンテスキューとクラス一の美女に似ている美少女シンシア。 この世界では【勉強力】と呼ばれる力が戦いを左右する。前回、戦う目的を見つけた勇者の勉強力は5へとアップしたのだった。さぁ、戦闘は続く!
【モンスター出現!】ツクエン 勉強力7
机を汚して勉強力を消費させるモンスター。
大賢者モンテスキューの魔法「整理整頓」で秒殺。
【モンスター出現!】クックル 勉強力5
九九の質問をしてくる鳥型モンスター。
シンシアの奥義「12×12を暗算で解く」一撃で撃破。
【モンスター出現!】パーマン 勉強力8
混乱を招く鼻歌を歌うヒーローもどき。数匹で出現。
スターマンがアイテム「耳栓」を投げて解散。
「ふぅ。これでこの辺りのモンスターはひと通り倒したな」
僕ら汗を拭いながら少し疲れた感じで呟いてみたが、虚しさが増しただけだった。
スターマンの「お前は後ろでびびってただけだけどな」はスルーした。
勇者であるはずの僕が、手も足も出せていない。
だって、僕の勉強力は5。下手したら一撃で死ぬ。
そんな僕を見かねて、
大賢者モンテスキューが修行を提案したが、
夢の中まで辛い思いをしたくないと断ろうとした。
ただそこで「勝手に死ねばいい」と言ったスターマンに、
シンシアが「勇者様が死んだら困ります」と言い返していたので、
やる気がぐっと上がった。そうだ、すべてはシンシアのために。
「勉強力はな、筋トレのように鍛えることができるのじゃ」
大賢者モンテスキューは言った。なるほど、レベル上げしろってことか。
◎勉強力を上げる修行其の一 姿勢を良くする
「背筋を伸ばす、胸を張る、筋トレする。それだけで勉強力は少し上がるのじゃ」
大賢者モンテスキューの説明に「へ?」と思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
「姿勢が良くなると、血の巡りが良くなったり視野が広くなったりするんですよ」とシンシアが補足する。納得。
「体力がないと勉強もできねぇんだよ、もやし」スターマンの補足。無視。
とりあえず姿勢を良くしてみる。脳に血を送り込むイメージ。
また、身体をほぐしてみる。肩をぐるぐる、首をぐるぐる。
少し目が冴えた気がした。大賢者モンテスキューが「おっ」と目を輝かせた。
只今、勇者の勉強力7。
◎勉強力を上げる修行其の二 成功体験を積む
「勉強力が一番伸びるのは…成功体験を積んだときじゃ」
途中に少しの間をとって、いかにも重要そうに大賢者モンテスキューが言った。
「あの、その、専門用語を使って言うと、セルフ・エフィカシーというものが高まっていくそうです」
ちょっと照れているシンシアが可愛い。
「でもこのもやしに成功体験がはたして一回でも積めるかなぁ」
この星の化け物め。いつか煮て喰ってやる。まずそうだけど。
「そこでじゃ…」と大賢者モンテスキューがそこで間をとる。
ごくりと僕はつばを飲む。そこで…?
「はて、なんじゃったっけ」じじい、遂にぼけたか。
◎勉強力を上げる修行其の三 スモールステップ
「私が代わりに説明しますね」
シンシアが張り切りだした。僕は大賢者モンテスキューの方に目をやる。
大賢者モンテスキューがしたのは汚いウィンクだったが、作戦が読めた。
あえてシンシアに説明させることで、僕のやる気とシンシアのやる気を上げようというのか。
さすが大賢者!ぼけたって言ってごめんなさい。あと、じじいって言ってすみません。
「その成功体験を積むときに大切なのが、スモールステップです」
スモールステップ!なんだか可愛らしい響き。シンシアにピッタリだ。
「勇者様がどんなに勉強力が低くても、必ずできることはあります。できることから始めていって、少しずつ少しずつ成功体験を積み、だんだん難易度を上げていって、無理なく成功体験を積んでいくのです」
ちょっとだけディスっているのが気になったけど、
シンシアの満足げな笑顔を見てたら気にならなくなった。
そこから少しの間、僕はその荒野で、
レベルの低いモンスター達を相手に成功体験を積むことに注力した。
おかげで僕の勉強力は13まで上がったのだ!
うん、まだ微妙だ。
「早く城へ向かわねぇと日が暮れちまうぜ」
スターマンのその一言で僕らはまた城への道を歩きだした。
そして、そこには恐るべき事態が待っていたのだった。
【今回の大賢者の教え】勉強力は鍛えることが出来る
【次回予告!!】
え?魔王登場!?
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
勉強力は現実世界でも鍛えられます。