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2021.12.24 06:05
神奈川県住宅供給公社(浅羽 義里理事長)が所有している賃貸住宅は竣工後40年以上が経過した団地タイプのものがほとんどで、これらの団地タイプにおける入居者の高齢化も進んでいます。
そのような中、公社では団地再生のためのさまざまな取り組みを行っており、このように高齢化の進む団地では、公社と地元の大学の協力が進み、地域の課題解決に積極的に取り組んでいます。団地内に学生が入居することにより、老朽化した建物のリノベーションの企画に加わったり自治会活動などに積極的に関わってもらい地域コミュニティの創生に学生のアイデアを生かす例が数多く見られます。
そのような動きの一環として同公社では、2020年1月16日に東海大学(山田 清志学長)と「団地利活用で地域創生を目指す連携協定」を締結(団地利活用で地域創生を目指す連携協定)。学生による団地リノベーションの提案及び実施のほか東海大学学生の団地への入居による新たなコミュニティ形成・強化に有益な社会活動などで、たがいに協力して取り組むことになりました。
その際に山田学長は、「公社と一緒にメインキャンパスのある県西部の活用をしていきたい。教育の一環として、高齢者と学生が一緒に住むような住まいを考えていきたい」と今後の展開に期待を示しました。
この連携プロジェクトの第1弾として、築54年の伊勢原団地12 号棟(32 戸)の改修に着手しました。リノベーション後の部屋には、東海大学湘南キャンパスと伊勢原キャンパスの学生も入居の予定。
学生からリノベーションアイデアを募集
またこの改修には、学生からリノベーションアイデアを募集し、コミュニティスペースを設けるなど、地域との交流を図り、地域の活性化も目指すことを目標にかかげています。さらに、学生がキャンパスを出て屋外授業を体験することで、外部とのつながりをつくり、卒業後は即戦力となることも期待されたプロジェクトです。
学生から出されたアイデアは、オンライン開催された「最終講評会および改修基本案選定会」を経て、実施に向けて踏み出しました。そしてプロジェクトの第1弾として、21年8月から伊勢原団地12 号棟学生入居用改修工事がスタートしました。
学生がリアルな現場を体験
この11月27日には、東海大学に在学する学生と大学院生を対象に、現場見学会が行われました。この見学会については、連携協定のテーマの一つともなっていて、本工事の発注者および工事監理者である「(一般社団法人)かながわ土地建物保全協会」、工事施工業者の「奈良建設株式会社」の協力で実現しました。
学生集合(連携協定及び工事の概要の説明を聞く学生)
住居部 現状の躯体状況及び今後の仕上げを確認
住居部 断熱材の施工を確認
LGS 建込を確認(施工業者の説明を熱心に聞く学生)
疑問点をすぐ関係者に質問する学生
当日学生たちは、住居部の断熱材の施工状況や、今後の仕上げまでの工程等の説明を受けながら熱心に見学。リノベーションの現場に触れることで、アイデアが形になるのをリアルに見ることができ、設備の配置などの大切さなども知り大変勉強になったようです。そして来年3月の完成(予定)への期待がさらに高まったようです。
また、学生たちが、建築途中の工事現場を実際に見学し、工事管理の実務を経験する「学外授業」によって得るものは大きく、この伊勢原団地でのリノベーションの体験が社会に出て大きな助けになったと考えられます。
■計画概要
〈コンセプト〉住居部は、玄関から一体の土間を彷彿させるラウンジ・大きな窓があるキッチン・最小限のプライバシーを確保した個室という3つのゾーンに分けて様々な入居者に対応
見学後の学生の感想
○実際の現場を見ることができて大変勉強になった。設計段階では意匠しか考えていなかったが、今後は設備の配置等も意識しながら進めていくことがより大事だと思った。
○全国的に団地の老朽化が進んでいると聞いているので、この取り組みが一つのモデルになれば嬉しいと思った。
○現場の声を実際に聞くことができ、机上ではわからない情報や技術を勉強できた。このような見学会をまた実施してほしい。