カール大帝の夢4-カールの「聖戦」
2017.08.18 05:32
772年、カールはザクセン人の信仰の象徴である「聖樹イルミンスル」を切り倒して宣戦布告をした。イルミンスルとは、ザクセン人が天空を支えていると信じていたシンボルで、北方神話の「世界樹」にあたる。後にヴァグナーが「ニーベルングの指環」に取り入れている。
父ピピン3世は、冷静にキリスト教を支配のツールと考えるところがあった。ところがカールは、ザクセンを征服して、キリスト教に変えることが目的となる。後にローマ教皇にあてた有名な手紙で彼は、「異教からキリスト教を守り、その力を強める」と書いている。マジなのだ。またイタリアを自国に加えるなど、ハナッから西欧全体を射程に置いている。
カールは、イタリア安定化のための遠征も行いつつ、775年に大勝利を収めて一旦は決着を見る。ザクセン人たちは降伏し、「数え切れないほどのザクセン人が、妻子と共に集まり、洗礼を受け、カールが要求しただけの人質を差し出した」と王国年代記には記してある。
カールはエレスブルクのザクセンの要塞を再建し、リッペ河畔に新たな城塞を築いた。これは今のパーダーボルンに当たるが、ここを「カールの都市」と名付けた。カールはコンスタンチヌスがコンスタンチノープルを建設したのに感銘を受けていたのだという。しかしザクセンの英雄ヴィドゥキントは、デンマークに逃れ、再起のチャンスを伺っていた。
下はイルミンスルを切ったカール大帝。トーテムのような描き方をしている