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陽は中天を過ぎて 2nd season

雷光一閃夏天の暮

2017.08.19 13:20

心にうろを抱えているとろくなことがない。

夕方、暑さもおさまってきたので買いものに出たはずが、気づいたら商店街とは別の方向に足が向いていた。

どこでもいい、とにかく歩きたかった。

なにかに突き動かされるように、ただ足を前へ前へと運ぶ。

橋の上まで来てふと後ろを振り返ると、西の空によくない雲が黒々とわだかまっているのが見えた。

引き返したほうがいいな。

たしかにそう思ったのに、なぜだか足は家とは逆の方へと進んでいく。

第二京浜を渡り、神社の前を過ぎ、小学校の横を通り、やがて知らない道に出た。幹線道路のようで道幅は広く、行き交う車も多い。

どこにいるのかいまひとつ見当がつかなかったが、まあいい。いずれどこかに着くだろう。

空はますます怪しくくもり、風も出てきたというのに、やけに呑気なものだった。

いや、呑気なのではない。

麻痺しているのだ。

車の騒音に混じって空雷が聞こえ出しても、まったく焦る気持ちも起きなかった。

幹線道路をそれて住宅街の中を歩くうちに見知った道に出て、そろそろ戻ろうかと思った矢先、ぽつりぽつりと雨粒が頭を打った、と見る間に雨が降り出し、それはやがて傘などなんの役にも立たないほどの豪雨になった。

空を圧して轟き渡る雷鳴の中、雨に白く烟る急な坂を登り、全身ずぶ濡れになってみて気がついた。

きっとこんなふうに雨に打たれたかったのだ。

この虚ろな身体を、心を、嵐のような雨に流し去ってしまいたかったのだ。

だから天気が悪くなるのを承知でむだに歩き回ってきたのだ…

雨が激しくなればなるほど、自分が救われるような気がしていた。

が、近くに雷の落ちる音がして身体にその振動を感じるに及んで、さすがに雨宿りをする気になった。

自転車置き場のトタン屋根の下で、稲光りと空を切り裂く音とをやり過ごす。

心にうろを抱えているとろくなことがない。

埋めることもできず消すこともできないこのうろを、いつまで抱えていけばいいのだろう。